ことばを覚えること

赤ちゃんが言葉を話す時、 まさにカテゴリー化や切り出しを行なっているはずである。 おかあさんが「これなあに?」と聞く。 赤ちゃんは初めは分からないが、 おかあさんに「これはみかんよ」と繰り返されると、 次にはその言葉をそ…

切り取ること

チョムスキーの考える普遍言語とは違うのだろうが、 言語の獲得の際にまず必要なことは、 存在するすべての事象から何かを切り取ることだろう。   冷静に考えると切り取ることはなかなか不思議な気がするのだ。 どんなも…

言語と哲学

「哲学もつまるところ言語に依存する」といったことが ある言語学の書物に書かれていた。 私はこの考え方に原則的には反対である。 ただ、言語学者は結局のところ言語をこのように考えているのかと理解できるので これはこれで面白い…

「なぜ」をなぜ問えないのか?

科学は「なぜ」を対象にできないでしょう。 だからもっぱら「いかにして」を研究しているわけです。 では、なぜ「なぜ」を研究できないのでしょうか? それは、事実がそこにあるからであり、 そこにあるものを説明する時には 「だっ…

記載型の学問

職業的に日本語の文法で英単語を用いる傾向が強い私たちは descriptiveな研究と呼びますが、 まあ、生き物を観察し事実を記載するという形式の研究をさすと捉えて下さい。 何もこの方法論が絶対的に正しいと主張するつもり…

ゲノムと情報

先日の続きである。 ゲノムが単なる情報であるということに抵抗がある理由はなんなのだろう。 まずは、ゲノムそれ自体が進化するという事実があるように思う。 ただの情報ならそれは変化で構わない。 しかし、ゲノムの場合、多くの変…

情報か体系か?

チョムスキーのことを書こうと思っていろいろ考えていたら、 頭の中はゲノムの話に取って代わられた。   先日、神戸理研の西川伸一先生と長い時間話す機会があった。 話は、時間・宗教・ゲノム・進化などなど取り留めなく…

古い?新しい?

以前にも書いたようにこのところチョムスキーに関する本を読んでいます。 で、ある書籍の序論にソシュールが古いということが書かれていました。 いやあ、ソシュール信仰(と言うほどのものでもないけど)の私は愕然としました。 たし…

続・単語の意味とはなにか?

で、昨日の続きです。 私はこれまでに「単語カードでは単語を覚えられない」と かたち=関係性の立場で書き続けてきました。 それと同じ話です。   単語の意味は文脈により決まるというのは間違いのないことです。 言い…

単語の意味とはなにか?

ある単語の意味を考える。 おそらくそれは、その単語が使われている文脈において規定されているだろう。 規定するという厳密な言い方よりも、 その文脈において矛盾を生じない程度のことだろうとも思う。 だから、ただ一つの文章にお…

思考停止、つづき

原発の事故以来、エネルギー問題がしばしば話題に上っています。 代替エネルギーとしての自然エネルギーの話題も多いと感じます。 さて、ここでまた思考停止状態に陥っているような気がします。 疑問点は「自然」と言った瞬間に「素晴…

思考停止

人間の思考って気を抜くと停止するように思う。 まあいわゆる思い込みってヤツのことである。 なんだかそれっぽい説明がついた段階で あるいは直感的にそれっぽいと思った瞬間に、 ことの本質を考えなくなってしまうと感じる。 &n…

真犯人

ミステリ小説を読んで、設定とは異なる真犯人を見つけるのはどうなのだろう? というのは、たまにそれを小説にしている例があるのだ。 例えば山田正紀はダインの「僧正殺人事件」に関して 全く別の犯人を設定して小説を書いている。 …

攘夷?

維新前後の攘夷の考え方とはどういったものなのだろう? 単なる渡来人への畏怖なのか? それとも武士(もののふ)としての誇りなのか? この欄をご覧くださっている方々にはご理解いただけるだろうが、 私は欧米人を好きではない。 …

固有名詞

先日、言語学の体系的な本を斜め読みしていました。 その本の序に、「言語学は説明に固有名詞を使いすぎる」とありました。 言語という体系を科学的に解析する場合に、 固有名詞(この場合はソシュール・バルトなど人名を あるいはそ…