四面楚歌

兵庫県知事が四面楚歌の状態だとニュース番組で言われていた。

で、四面楚歌である。周囲を敵に囲まれた城の中にいる人は漢人か楚人かどっちかご存知だろうか?皆さんはもちろんご存知のことと思うが、実は大学生になるまで私は知らなかった。私の感覚だと、この言葉の意味から考えても、楚人に囲まれた城の中にいるのは敵対する漢人である。だから、周囲が敵だけの場合に「四面楚歌」というのだと思っていた。でも、実際には城の中にいるのは楚人なのである。司馬遼太郎の「項羽と劉邦」によれば、追い詰められた項羽が城に籠ったところ、城を囲む兵士から楚の歌が聞こえてきた。劉邦(正確には韓信だったと思う)が歌わせたのだ。「ああ、味方であるはずの故郷の人までが敵に回ったのか」と絶望感からこの戦の終焉を理解したということで、これを知れば「四面楚歌」の意味に相応しいと思うのだが、「周りがぜんぶ敵」という意味だけからこの言葉を見たら、若い頃の私のような理解になってもおかしくないような気がする。皆さんはどうだろう???

ついでに「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」についても書いておこう。これも、誰でも知っている言葉だが、本当のところを、これまた大学生になるまで誤解していた。例えば彼女が欲しくて誰彼(「たそがれ」ではなく「だれかれ」と読んでください)構わずに告白しまくっている知り合いのことを称して「下手な鉄砲も」と言ったら、「その使い方は違う」と指摘された。「下手な鉄砲」の場合には的は一つである。一つの標的に向かって何度もトライすることを意味しているわけなので、「ひとつの的を外したから次の的」という場合に「下手な鉄砲」は使えないとのこと。「なるほど」と思ったものの、「この特定の女性」ではなく「誰でもいいから恋人を作ること」を標的と考えたら、「下手な鉄砲」と喩えてもいいのではないかと思ったりもする。

なんにしても、一般常識を知らないことで、知らないところでたくさん恥をかいているのだろうな。