形態アトラクタ
もう三十年近く以前、脊椎動物の咽頭胚の構造を倉谷さんが「形態アトラクタ」と呼んでいました。今でいう「発生の砂時計モデル」のボトルネックの部分のように、形づくりの過程でどうしてもこの形態に吸い寄せられる、この形態を通らない…
淘汰
淘汰という考え方が進化を考える上での基本だろう。だから、その生命現象にどのような淘汰圧がかかっているかを考えることが、進化は言うに及ばず現存する生物の現象を考える上で最も重要だと思う。 淘汰という概念よりも選択という概念…
思考と嗜好(目的論)
生物の進化を考える際に目的論は徹底的に排除される。それが新ダーウィン主義の考え方だろう。エーデルマンは神経ダーウィン主義を提唱したがそこに目的論はない。要するに「〇〇するために変異する」のではなく、「変異した結果(淘汰さ…
思考と嗜好(羊膜類)
羊膜類が誕生するときにも卵黄が大きな役割を演じていると私たちは考えている。卵黄が一定水準を超えて卵に蓄積されると、卵は細胞としての振る舞いを行なえなくなる。端的に言えば、油が邪魔をして細胞分裂ができなくなるのだ。そうする…
思考と嗜好(原索動物と脊椎動物)
脊椎動物の出現を考えるとき、卵黄の獲得が大きな意味を持つと考えている。卵黄の獲得により卵が巨大化した。卵が大きくなると細胞分裂の回数が増えなければ、細胞運動可能なサイズの細胞を持つことができない。原索動物(無脊椎動物)は…
思考と嗜好(ゲノムと淘汰圧)
中立的に物事を見ることがなかなか難しい。論理的に思考している時でも、「論理的」だから公平中立に考えられているのかと言えばそれは違う。私たちの考え方には、生まれ育った環境に依存する癖がある。言語が論理に影響することは何度か…
淘汰圧は何にかかる?5
ちょっと、あやしい前提の上に不確かな仮定をいくつも置いたので 眉につばをつけたくなった方も多いとは思うが、 本題はそこではないのでもう少し我慢していただきたい。 いまは「神経堤細胞の確立に細胞周期の維持が必須である」と仮…
淘汰圧は何にかかる?4
で、脊椎動物である。 脊椎動物において「砂時計のくびれ」が作られる淘汰圧はどこにあるのだろうか? 咽頭胚は頭部形成がまさに完了した時期の胚である。 脊椎動物の脊椎動物たる所以は頭部構造を持つことにあり、 頭部構造は神経堤…
淘汰圧は何にかかる?3
かなり横道にそれてしまった。 本題の「淘汰圧は現象にかかる」である。 まあ、上に挙げた「原腸形成過程による差異の吸収」も、 これがなくては脊椎動物が生じないという意味においては 淘汰圧が強烈にかかっている現象であると思う…
淘汰圧は何にかかる?2
たとえば卵の大きさやその後の発生過程は種によってかなり変わっている。 それは卵形成過程に変異が入ることをある程度許容されたからなのだろう。 脊椎動物の初期発生過程を「咽頭胚を形づくる過程」を考えれば、 形づくりの行程は卵…
淘汰圧は何にかかる?1
この質問に明確に答えられることはできないだろう。 それは、どのレベルの進化を考えるかに依ると思うからだ。 ただ、個体発生の段階でかかる内部淘汰に関しては 「淘汰圧は現象にかかる」といえるのではないかと考えている。 &nb…
続々・ニッチ?
ニッチの議論に違和感を覚える私の性癖が何に由来するのか? たぶんそれはカエルやイモリの発生を受精卵から見ていることかなと思う。 ツメガエルは一度に何千個もの卵を産み、 人工授精すればほぼ100%の受精率で発生が始まる。 …
続・ニッチ?
同じ動物門の中にいる生きもの同士は相同なゲノム体系を共有する親戚であり、 他の動物門とはまったく異なる体系を持っていると考えている。 ただし、カンブリア爆発以前に成立した「モノ」は共有しているため ところどころで同じメカ…
ニッチ?
内部淘汰の問題については何度となく書いてきたから このHP内で「内部淘汰」をキーワード検索して頂きたい。 そうすれば橋本の書いた複数のブログ記事に出会い、 その中では「内部淘汰」と言う概念を橋本がどのように考えているのか…
脊椎動物の発生はどのように共通なのか?
先月から今月の頭にかけていろいろと研究者を回っては議論をしてきました。 首都大学で福田公子(トリ)西駕秀俊・高鳥直士(ホヤ)、 基生研で藤森俊彦(哺乳類)、理研CDBでは相澤慎一(哺乳類・爬虫類)、 川崎医療福祉大で竹内…
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