脊椎動物と無脊椎動物「個体発生における神経堤・プラコード・脊索前板の出現」(5/6)
私たちの研究から、神経堤・プラコード・脊索前板の成立に必要な新しい分子機構が明らかとなって来ました。分子発生学の文脈では,元来,遺伝子の発現制御に注目して細胞の分化などを論じるのですが,私たちが見つけた現象は直接的にはこ…
脊椎動物と無脊椎動物「増殖と分化」(4/6)
古くから発生学の研究者は「増殖」と「分化」は互いに相反するものであると考えて来ました。その分子的な基盤はよくわかりません。私が分からないだけなので,実は既に良く分かっているのかもしれませんが,とにかく私は知りません。ただ…
脊椎動物と無脊椎動物「個体発生における前適応」(3/6)
あらゆる生きものにおいて様々な遺伝子の働きが解析されています。たとえば細胞外に分泌されて他の細胞の分化などに影響を与える分子,その分子を細胞膜上で受容してそのシグナルを核に伝えるしくみなど、脊椎動物以外にもショウジョウバ…
脊椎動物と無脊椎動物「前適応」(2/6)
進化の考え方で前適応があります。宮田先生の説明が分かりやすいので例として使わせて頂きます。たとえば木の葉に擬態しているコノハムシという昆虫は、ジュラ紀の地層にもその化石が見られるということですが,実はジュラ紀に広葉樹は存…
脊椎動物と無脊椎動物「序」(1/6)
私は、脊椎動物の発生に興味があって研究を進めていますが、その流れで進化にも目が向くようになって来ました。で、現在の個人的な興味は「脊椎動物がどのようにして出現して来たのか?」です。現在、脊椎動物に最も近い生きものとしてホ…
ゲノムと構造
かねてから書いたり話したりしておりますが、 私はゲノムというものを単なる遺伝子の集合体だとは考えておりません。 これは宮田先生のソフトモデルにも通じるものがあるのかもしれませんが、 たとえばチンパンジーのすべての遺伝子と…
エボ?デボ?
最近,進化の研究者が話していたこと, 「エボデボと言っている奴らはまったく進化を分かっていない」。 彼の言う「エボデボ」とは主に発生学の立場から進化を語る人たちのことですが その話を聞いての感想は、「当たり前やん」でした…
再び、砂時計?
脊椎動物の定義はたくさんあると思いますが 「咽頭胚を経て成体のかたちを作る生きものの総称」と言ってもあながち間違いではないと思います。 だから、逆説的に言えば受精卵から始まる初期発生の過程で 咽頭胚の形態をかたちづくるこ…
砂時計?
脊椎動物を定義するかたちとして咽頭胚が上げられるだろう。 とにかく、咽頭胚のかたちを経なければ脊椎動物は完成しない。 だから、「発生の砂時計モデル」が提唱されている訳だ。 最近,砂時計(ボトルネック)ではなく咽頭胚を始ま…
ニッチ?
今後4割打者が出ないことを数学(統計学)的に「証明」したのを見たことがある。 なんだか話を聞いた時には「そうなのか」と半ば納得するのだが その後に私の理解力がついて来なくなる。 いくら統計的に「証明」されようが、 10回…
連続?不連続?
進化を連続的にどこまで考えられるのかについてかなり疑問を持っています。 論理的な疑問というよりは、ゲノムのかたちから見た感覚的な疑問だろうと思います。 たとえば脊椎動物の中で進化を考えたら連続的な考え方で大丈夫だと思いま…
原腸形成運動
「人生で最も重要な時は誕生でも結婚でも死でもなく原腸形成だ!」とウォルパートは表現した。 ところで、原腸形成過程とはひとことで説明するとどういう過程であろうか? 試験に「次の語句を簡潔に説明せよ」という問題が出たときの答…
個体発生と系統発生
「個体発生は系統発生を繰り返す」とはヘッケルの有名な言葉である。 では、系統発生と個体発生はどのように似ており、 あるいはどのように違っているのだろうか?? こんな議論は専門家にお任せするしかないのだが、 最近、進化にお…
「生命の起源」と「進化」
私が学生だった頃、偉い先生とお酒を飲みながら話していました。 話題は多岐に渡り、最後には生命の起源などという大きなテーマに至りました。 その先生が言うには「生命の起源は天才しか研究してはならない」ってことで、 その理由は…
将棋と囲碁
以前に 『ところで以前のコラムで「ゲノムをより直接的に扱うなら個体発生より系統発生を考慮しなければならないかもしれない」、「歴史的に見て発生とゲノムとの関係を言い始めたのはせいぜいこの20年ぐらいのこと」と書かれてお…
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