脊椎動物と無脊椎動物「序」(1/6)

私は、脊椎動物の発生に興味があって研究を進めていますが、その流れで進化にも目が向くようになって来ました。で、現在の個人的な興味は「脊椎動物がどのようにして出現して来たのか?」です。現在、脊椎動物に最も近い生きものとしてホヤなど原索動物が上げられますので、ホヤと魚が、その共通祖先からいつ・どのようにして分岐したのかってことです。

脊椎動物の定義として様々上げられますが、その中に「真の頭部」を持つものというのがあります。「真の頭部」とは,たとえば中枢神経系である脳を持ち,それを取り囲む頭蓋骨を有することや,眼・耳・鼻などの感覚器を有すること,などが上げられます。そして,この「真の頭部」を形づくるのに重要な細胞として神経堤・プラコード・脊索前板が上げられますので、進化の過程でこれらの細胞をどのように獲得したのかを知ることが脊椎動物の出現を知ることであると考える人もいます。だから近年のエボデボの人たちは,そのお決まりの方法論としてホヤにたとえば神経堤の祖先となる細胞を見いだそうと努力します。これからちょっと異なる視点で脊椎動物の出現について考えてみます。