エボ?デボ?
最近,進化の研究者が話していたこと,
「エボデボと言っている奴らはまったく進化を分かっていない」。
彼の言う「エボデボ」とは主に発生学の立場から進化を語る人たちのことですが
その話を聞いての感想は、「当たり前やん」でした。
以前にも書いたと思いますが、エボ(進化)とデボ(発生)は
ゲノムという不可思議なものを接着剤としてきれいに結びついたように見えましたが
まじめに考えるとそれは幻想であるということが分かって来ますし,
現実問題として幻想がゆえにに無理が生じて来たのが今ってことなんでしょう。
大体において、ゲノムとは単一遺伝子の集合体ではないのですから
遺伝子に意味付けをしたらゲノムの考察は頓挫すると思います。
しかしエボデボでは結局は相同遺伝子の議論しかされていないように感じられてなりません。
発生機構論の中で一つの歯車の働きを調べることは出来ますし
その歯車が違う種の形成にも関わっていることも解析できますから
なんとなく進化を扱っているような気にはなるのでしょうが
大きな意味での進化・系統発生では単一遺伝子が持つ意味は限りなくゼロに近いと思います。
進化におけるゲノムとは囲碁であり,発生におけるゲノムとは将棋であると
以前ここに書いたと思いますが、
これは形とはたらき(構造と機能)の関係にも似たような
「互いに相容れないもの」のように感じられてならないのです。
穿った見方かもしれませんが、
エボデボの意味が今ここであらためて問い直されているのかもしれません。
なお、上にあげた進化学者の話ですが
エボデボの人も含めて何人かが同じようなことを話していますので
決して一人の変人の話ではありません。
実はもっと面白い内容になるのですが
具体的に書くと人物が特定されてしまうので・・・。