脱構築

自然の状態で言葉を学ぶときに文法から入ることはありません。 言葉とは表現を丸ごと覚えて それを状況に応じて使い分けることが要求されるので、 単語をひとつずつ繋ぎあわせるという行為をしないわけです。 私たちが話すときを思い…

理解とは・説明とは

昨日のいまいさんのコメントに関して思った事を書きます。 きわめて個人的な偏見がてんこもりの「私見」です。   言葉に頼り過ぎるあまり、 あるいは論理的に説明しなければという使命感なのか、 大人が頑張って理屈を話…

ゲノムを理解する事とは

ゲノムを理解する事とはどういう事なのだろう? あるいは、どのなったらゲノムを理解したとする事ができるのだろう? ゲノムをゲノムたるものとする本質はゲノムに潜在する「かたち」であろう。 そのかたちをどのように理解するのかと…

情報がいつ生じたのか?

表題は西川先生がよく口にされる疑問だ。 これについて個人的にはまったくしっくり来ない。 物理現象だけだったところに情報という「モノ」が生じた、 これがなぜ?どのように?生じたのか?という疑問だろう。   ただの…

言葉とゲノム

ゲノムはしばしば言語に例えられる。 宮田先生のソフトモデルを橋本流に解釈すれば、 極論だが、ヒトの遺伝子をチンパンジーの遺伝子とすべて入れ替えても それはヒトのゲノムであるという感覚だろうか。 これをゲノムに例えれば、 …

相似と普遍性

系統的にその起源を同じとしない、 しかし形やはたらきが非常に似ている構造を相似と呼ぶ。 この相似構造をつくるのに働く遺伝子が「相同遺伝子」であることがたくさん報告されている。 これをどう考えるのかである。   …

多様性と普遍性

学生の頃、前館長の岡田節人さんに言われた言葉を今でも覚えている。 「多様性の中にのみ普遍性は成立する」だ。   特にこの10年ほど、私は発生過程の共通性・普遍性について考えている。 これは遺伝子の共通性ではなく…

相似と相同

一般論としてははなはだ書きにくいのだが、 相似と相同の概念についてすこし考えてみる。   相似とは、かたちやはたらきが似ていても 系統進化的にまったく異なる成り立ちで形づくられた構造を呼び、 相同とは、かたちや…

かたちの進化

進化の原動力はゲノムに生じる変異であるのは間違いない。   ゲノムの変異というものを進化の文脈で具体的に考える場合に、 どうしても世代間の変化とか環境との適応とかに話が及ぶ。 しかし、発生を見ている目からは、 …

卵黄・発生拘束、そしてカンブリア爆発

脊索動物の形づくりに関して卵黄の影響が重要であろうと考えている。 卵黄の獲得、それに伴う形態の変化、 その形態変化と発生過程がどのように脊椎動物の進化に関わったのか? この、たとえば卵黄を少しずつ増やしていくような場合に…

形態形成運動と遺伝子発現3

淘汰圧は、おそらく様々な様式でゲノムにかかってくる。 そのうちの「それまでの正常発生を許容する」という淘汰圧、 すなわち発生拘束、が多細胞生物の進化には大きな意味を持つのだろうという話である。 たぶん、複雑な構造を作りう…

形態形成運動と遺伝子発現2

ゲノムに導入される変異は、正しい形態形成運動を保証するものでなければならないはずである。 それまで行なわれてきた形態形成運動を邪魔するような変異が残るはずは無い。 これが「発生拘束」という言葉で表される正体ではなかろうか…

形態形成運動と遺伝子発現1

正しい形態形成には正しい遺伝子発現が必要である。 これはきわめて正しい論理である。 しかし、これが「正しい遺伝子発現が正しい形態形成を導く」のような理解となれば、 これは少しおかしい理屈になる。 であるにも関わらず、 こ…

生きものの論理 その3

さらに蛇足。   いまの翻訳ソフトはなかなか素晴らしいと思うのだが、 その理由は、結局は翻訳の基本原理を考えるのをやめて、 とにかく網羅的にすべての言葉を取り込んだということだ。 これはすなわち、人間が言語を習…

生きものの論理 その2

蛇足のような続きである。   私が思う「言語における文法」は、 たとえば日本語における動詞の五段活用みたいなものを想像していただけると分かりやすい。 日本語という体系を調べていくと「五段活用」という規則が見いだ…