ゲノムにかかる淘汰圧
以前、ゲノムを考える時に個体発生の文脈では「将棋」的であり、系統発生の文脈では「囲碁」的なイメージを持つと書いた。その感覚はいまでもあまり変わらないのだが、この感覚の前提として、ゲノムをかたちと捉えている立ち位置がある。…
ゲノムの進化
ゲノムを対象とする進化の議論に出会ったことが無いと 以前にここで申し上げたことがあります。 ここでいう「ゲノム」とは,遺伝子に意味付けすること無く 遺伝子同士の関係性という「見えないもの」が本質であるという捉え方です。 …
脊椎動物と無脊椎動物「誘導」(6/6)
ここで視点を変えてみます。BMPなどの分泌因子が隣接する細胞群に働きかけてその運命を変えさせる現象を「誘導(embryonic induction)」と呼びますが,分子的に見るとこの現象は多くの多細胞生物で行なわれている…
ゲノムと表現型
昨日のブログで,宮田先生との感じ方の違いは何に起因するのか 橋本が勝手に妄想してゴチャゴチャ書いてみたのだが、 その後に酒を飲みながらぼーっと夢想しているときに、 「今までに進化をゲノム体系の視点から論じたものを見たこと…
宮田先生とソフトモデル
宮田先生のソフトモデルには共感する部分が多いと思っている。 しかし,宮田先生とお話しさせて頂くとどうも話が噛み合ないことがある。 その辺りを先日じっくりとお話しさせて頂いたのだが どうも,宮田先生のソフトモデルというのは…
脊椎動物と無脊椎動物「個体発生における神経堤・プラコード・脊索前板の出現」(5/6)
私たちの研究から、神経堤・プラコード・脊索前板の成立に必要な新しい分子機構が明らかとなって来ました。分子発生学の文脈では,元来,遺伝子の発現制御に注目して細胞の分化などを論じるのですが,私たちが見つけた現象は直接的にはこ…
脊椎動物と無脊椎動物「増殖と分化」(4/6)
古くから発生学の研究者は「増殖」と「分化」は互いに相反するものであると考えて来ました。その分子的な基盤はよくわかりません。私が分からないだけなので,実は既に良く分かっているのかもしれませんが,とにかく私は知りません。ただ…
脊椎動物と無脊椎動物「個体発生における前適応」(3/6)
あらゆる生きものにおいて様々な遺伝子の働きが解析されています。たとえば細胞外に分泌されて他の細胞の分化などに影響を与える分子,その分子を細胞膜上で受容してそのシグナルを核に伝えるしくみなど、脊椎動物以外にもショウジョウバ…
脊椎動物と無脊椎動物「前適応」(2/6)
進化の考え方で前適応があります。宮田先生の説明が分かりやすいので例として使わせて頂きます。たとえば木の葉に擬態しているコノハムシという昆虫は、ジュラ紀の地層にもその化石が見られるということですが,実はジュラ紀に広葉樹は存…
脊椎動物と無脊椎動物「序」(1/6)
私は、脊椎動物の発生に興味があって研究を進めていますが、その流れで進化にも目が向くようになって来ました。で、現在の個人的な興味は「脊椎動物がどのようにして出現して来たのか?」です。現在、脊椎動物に最も近い生きものとしてホ…
ゲノムと構造
かねてから書いたり話したりしておりますが、 私はゲノムというものを単なる遺伝子の集合体だとは考えておりません。 これは宮田先生のソフトモデルにも通じるものがあるのかもしれませんが、 たとえばチンパンジーのすべての遺伝子と…
エボ?デボ?
最近,進化の研究者が話していたこと, 「エボデボと言っている奴らはまったく進化を分かっていない」。 彼の言う「エボデボ」とは主に発生学の立場から進化を語る人たちのことですが その話を聞いての感想は、「当たり前やん」でした…
かたちが遺伝子発現を制御する?
新潟に行ってました。 疲れましたが楽しかった・・・。 今でも忘れませんが、学生の頃に見た論文のタイトルにびっくりした記憶があります。 How morphological structure could co…
再び、砂時計?
脊椎動物の定義はたくさんあると思いますが 「咽頭胚を経て成体のかたちを作る生きものの総称」と言ってもあながち間違いではないと思います。 だから、逆説的に言えば受精卵から始まる初期発生の過程で 咽頭胚の形態をかたちづくるこ…
砂時計?
脊椎動物を定義するかたちとして咽頭胚が上げられるだろう。 とにかく、咽頭胚のかたちを経なければ脊椎動物は完成しない。 だから、「発生の砂時計モデル」が提唱されている訳だ。 最近,砂時計(ボトルネック)ではなく咽頭胚を始ま…
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