かたちが遺伝子発現を制御する?
新潟に行ってました。
疲れましたが楽しかった・・・。
今でも忘れませんが、学生の頃に見た論文のタイトルにびっくりした記憶があります。
How morphological structure could control gene expression?
(形態が遺伝子発現をどのようにコントロールするのだろう?)
です。
この当時ですらすごい衝撃でしたが、
いまではもっと強烈なインパクトがあるのではないでしょうか?
なぜなら、すべては遺伝子で説明できるという風潮が蔓延しているからです。
たとえばヒドラの再生を見ていると、
普通に切ったら普通に再生するのに糸でクビリ切ると再生しないのですよ。
要するに傷口があるかどうかって問題なのです。
もちろんこれにも分子的な説明はつきますし、それはまったく正しいことなのですが
でも、やはり発生を見ていると正しいかたちが正しい遺伝子発現を制御することは分かるし、
特定のかたちによって誘導される新しいかたちがあるのも分かりますから、
それが後でたとえ分子で説明できるのだとしても
一義的には生きものの形が、形態形成すなわち遺伝子発現を制御していると考えられます。
逆に言えば、遺伝子制御のカスケードでかたちが出来るとは思えない。
正しい形態の元でなければ正しい遺伝子発現は起こりえないってことです。
私は、この視点でなんとかして発生学にアプローチをしてみたいのですが、
市民権を得る為には正確で正しいデータを示さなければなりませんよね。
これがなかなか難しいのですよ。
だって、かたちから何か言っても、
「遺伝子はどうなっているの?」って聞かれて終わりですからね。
巨大なバカの壁が立ちはだかっている・・・・。