初期発生における素過程とは

発生過程を素過程に分けて考えることの可能性を以前書いた (https://hashimochi.com/archives/6414)。 その話も研究者仲間としておおむね共感を得ている。 ただ、そこで必ず出てくる話がある。…

意味と記号

人は意味を持ったものしか認識できない。 この「意味を持ったもの」を記号と呼ぶ。 まあ、こういう表現はよく登場する。 だから「意味を持ったものしか情報にはなり得ない」ってのは 普通に考えて疑問の余地はなさそうに思う。 &n…

ソーカル事件

西川先生は、多方面の学問領域の人間を動員してゲノムの話を展開しようとしている。 この気持ちは本当によくわかる。 私にも西川先生並の行動力があれば同じことをやってみたいと思うし、 以前に行なった「かたちまつり」なんてイベン…

ゲノムと環境

自然淘汰の考え方ではゲノムの変異を環境が選択するように読める。 まあこれはおそらく間違えてはいないだろう。 しかし、同一ゲノムであっても環境要因により表現型は変化する。 これがその後のゲノムの変化に影響を与えうるのか?と…

変なタンパクができると・・・

ある種の確率でタンパク質を合成できる配列(プロモータ含む)はできる。 だから、一時期にぎわったような「機能性ペプチド」みたいなものが 発生に何か重要な役割をしているってことになるんだろうけど、 まあ、たまたま偶然にできた…

ゲノムとゲシュタルト

形の収斂でも書きましたが、 ゲノムがゲノムとして成立する時に必然的に持つであろうゲシュタルトが 生きもののかたちとして具現化すると大まかには思っていますので、 ゲノム=情報という図式がまったく受け入れられないのです。 極…

ゲシュタルトの概念

先日この欄で、西川先生の「情報」とは橋本の「意味」であろうと議論した。 何でも良いのだが、たとえば塩基が配列として並んでいるだけでは情報ではない。 アミノ酸も単体では情報ではない。 しかし、それが形をなし働きをもつと情報…

形の収斂

自然淘汰圧は形ではなく働きにかかる。 では、生き物の形が似ているのは、すべての形に何らかの機能があることを指すのか? 論理的に考えると淘汰圧は何らかの機能にしかかかり得ない。 ダーウィンフィンチのくちばしだってそうだし、…

セミナーの感想は

私のセミナーは、難しい遺伝子の話など出てこないし、 やっていることも中学生でも理解できるので とても簡単な内容だと思っています。 ただし、歴史が長い分だけの奥行きはあり、 表面的な理解の奥に何重にも楽しさが隠れているって…

DNAと情報

基生研・東大行脚も終わり戻ってきました。 少し収穫がありました。   さて、4月から新しく顧問にご就任の西川先生とお話しした。 彼は、DNAがどのように情報になったのか?の研究をしたいとおっしゃる。 しかし、以…

発生現象を素過程に分けてみる

これも話し言葉では頻出する考え方です。   両生類の様々な種をみると たとえば原腸形成過程を明確に定義できないことに気付きます。 原口が現れるときから原口が閉じるときと言ってしまえばそれで良いのかも知れませんが…

内部淘汰と外部淘汰

これについては様々な説明をしてきたが 説明する側としてもなかなか明確に言えていないと感じる。 そこで、普段ことばで言っているが書くとマズいかなと思っていることを書いてみる。   外部淘汰とはそのまま自然淘汰と考…

ゲノム論をまとめる

ゲノム論をまとめるために始めたブログも、 何もまとまらないままに時間だけが過ぎています。 で、ゲノムの定義と言っては言い過ぎでしょうが ゲノムとはどう考えるべきものかについて橋本の考えを少しまとめておきます。 とは言うも…

脊椎動物に共通するモデル

一昨日,一年の総決算とも言える「報告会」が催されました。 私たちの今年度の成果を外部の先生方にご覧いただく日です。 私たちもイモリの解析から妄想したモデルをご紹介いたしました。   その際にある先生から「目から…

環境ホルモン

以前に環境ホルモンの調査をしている研究の話を聞いた。 たとえばアフリカツメガエルのように、 世界中で同様に用いることができる「モデル動物」でのバイオアッセイ方法確立の話だ。 むかしに工場か軍事施設などがあった場所できわめ…