淘汰圧は何にかかる?1

この質問に明確に答えられることはできないだろう。

それは、どのレベルの進化を考えるかに依ると思うからだ。

ただ、個体発生の段階でかかる内部淘汰に関しては

「淘汰圧は現象にかかる」といえるのではないかと考えている。

 

淘汰という言葉の定義から見ても、

淘汰圧は抑制的にかかると考えるのは間違えていないと思う。

ただ、この「抑制的」という言葉は、

「この淘汰圧さえ満足させられれば他のところでは変化が容易だ」

と考えられることも示しているのではないだろうか?

 

ちょっと戻って内部淘汰について考えると、

短期的に見ると、個体発生過程で親と正確に同じ形を作らせられない変異を

除外する仕組みだと考えても問題ないように思う。

だから、個体発生過程を満足させられない変異は発生過程で死ぬ。

しかし、すこし長い目で見たときに、

ある特定の何かさえ維持していれば他の部分は変化を許容しているように見える。

脊椎動物でいえば砂時計のくびれの部分(咽頭胚の形)さえ作ることができれば

他の部分はかなりの範囲まで変化しえて、

その結果として魚から哺乳類まで作り上げられたのだろう。

 

私は、脊椎動物における「砂時計のくびれ」の維持に関わる淘汰圧のひとつは

頭部形成にあると考えている。

何だ、そんなの当たり前じゃないかとお感じだと思う。

そのとおりなのだ。

(つづく)