思考と嗜好(羊膜類)

羊膜類が誕生するときにも卵黄が大きな役割を演じていると私たちは考えている。卵黄が一定水準を超えて卵に蓄積されると、卵は細胞としての振る舞いを行なえなくなる。端的に言えば、油が邪魔をして細胞分裂ができなくなるのだ。そうすると盤割様式を取らざるを得ない。これは盤割というあたらしい分裂様式ではなく、全割をしようとするも卵黄過剰な部分では細胞分裂ができず、結果として卵黄の少ないところでのみ分裂できただけのことだと考えるのが正しい(だからゼブラフィッシュではyolk syncytial layerが生じるのである)。

われわれのモデルから導き出される仮説では、卵黄を胚のどこに持つかが発生過程には重要である。両生類の卵にさらに卵黄を過剰に持たせた場合に、卵黄は胚の内部に位置するが、真骨魚類では胚体外に卵黄を持つ。真骨魚とトリでは、ともに盤割をするので相同な発生運動であると思われてきたのだが、私たちの統一モデルから考え直すと、両者は正反対と言えるほど質的に異なることがわかる。そして、実は脊椎動物において真骨魚は「進化の袋小路」に入ったと言えるほど特殊であり、真骨魚を除くほとんどの魚類の発生様式は両生類に等しいことがわかっている。特に、四足動物の直接祖先であるハイギョの原腸胚の形は両生類と見間違うばかりである。したがって、羊膜類は両生類型の原腸形成運動によって生じたのである。実際に両生類の原腸形成過程を上下反転させて見るとトリの動きとまったく同じであり、真骨魚の原腸形成運動からはおそらく絶対に羊膜類は生じないだろう(ここのところは、ゼブラフィッシュ以外の動きを知らないのであまり強く言えないのだが)。