つらつらと1
ずっと心の奥底に引っかかっているものについてつらつらと考えてみた。「引っかかっている」と書けば、ものすごく気にしているとか憂慮しているとか思われるかもしれないが、これに関してはまったくそうではなく、単純に「なぜそう思うのだろう?」という純粋な疑問を自問自答しているだけである。さらに言えば、その疑問の答えは私個人の中にしかないので、一般論としての議論は成立しない。最終的には「だってこれが好きなんだもん」または「だってこれが好きではないんだもん」で終わってしまう話なので、いくら外から他人が「それは間違えている」と言ったところで到底納得するものでもないところが面倒なのだ。持って生まれたものなのか、成長の過程で培われてきたものなのかわからないが、とにかく個人的な嗜好に依存することだけは間違いない。
ニュアンスは違ってくるのだが、端的に言えば「分子や遺伝子で発生を語ることを全く面白いと思わない」である。なぜそうなのかについては漠然と考えたことはあるが、「好き嫌い」はなかなか論理的に説明できない。「そうなのだから仕方ないじゃないか」としか言いようがない。最先端を追い求めている研究者からは「逃げている」と言われたこともあるのだが、逃げているつもりもない。「逃げる」ということは、そちらの方向を暗に認めているとか、本当はそちらに憧れているのにというような感情が根本にあると思うのだが、言い切って仕舞えば、そちらの方向を「嫌悪している」ので、「嫌いなものから逃避している」だけのことだろうと思っている。
なぜそのような嗜好に陥ったのか?だが、たとえば過去に出会った尊敬に値する先生方の影響は十分にあるだろうことは間違いない。ただ、その先生方の言葉に影響を受ける「素質」はそれ以前に備わっていたはずだ。なぜなら、その先生方と同じかそれ以上多く、「最先端」の素晴らしさを語られてきたはずだが、それにはまったく反応できなかったからである。