50奪三振
大谷さんが50本塁打50奪三振を記録したらしい。すごいことのようだ。それはそうで、50本も本塁打を打つ打者が投手をするはずないし、50奪三振する投手が打席に立つこともないだろうから「前人未到」なのはわかる。50本塁打単体としてみて、他の打者が簡単に到達できない記録なのは私にもわかるから、これを偉業とすることにはまったく異論はない。
ただ、50奪三振がどれだけ「投手として」すごいことなのだろうか?この辺りが想像できない。実際に先発投手が試合ごとに5奪三振くらいはしているだろうし、だとしたら10試合登板したら50くらいの三振は取れるだろうと思う。だから、投手としての「50奪三振」が50本塁打と比較してそんなにすごいことかと言われたらよくわからない。そこで違う見方をしてみた。リリーフ投手が毎試合1イニング、年間50試合登板するとして、試合ごとにひとりの打者を三振にとる必要がある。三つ取るアウトのうちの一つは三振でなければならない。こう考えたらかなり難しいと感じる。また違う観点から考えると、年間100イニング登板する投手がいたとして、2イニングに一つ三振を取ることができた時に50奪三振が記録される。これがどれだけ難しいのかわからないのだが、普通に試合を見ていて、リリーフ登板してくるピッチャーが2イニング投げて一つの三振を毎試合とっているようにも見えない。
ということで、50本塁打ほどとんでもない偉業とは言えないが、普通の投手としてみても平均以上の業績であると言えるのだろう。さらに言えば、大谷さんは今シーズンはまだ13試合しか登板していないし、登板当初は短いイニングしか投げていないので、41イニングしか投げていないことを考えたら、41イニングで54奪三振だから奪三振率が11.85となる。開幕から先発ローテーションに入っている山本由伸さんの現時点での奪三振率が10.41だから、50奪三振という数字がすごいのではなく、そのポテンシャルがすごいわけだ。あと一人でノーヒットノーランを達成していた、メジャーを代表するような投手に並ぶ実力の人が50本塁打を打っているところが凄いことであって、50-50を大騒ぎするのは大谷さんの本当の凄さを過小評価させてしまうと思うのは私だけだろうか?