MBTの正体

ツメガエルやアカハライモリでは12回の卵割が終わる(胞胚の中期になる)までは新しい遺伝子発現が起こらない。この新規遺伝子発現が可能となる時期をMBT(中期胞胚遷移)と呼ぶ。MBTとは一体何なのかについてはいろいろと研究されてきたようだが、今だに明確な理由はわかっていないはずだ。私たちは、細胞周期を止めない(G0期に入らない)と細胞は分化できないと考えている。たとえマスター転写因子が発現していたとしても細胞周期が止まらなければ新たな遺伝子の発現が誘導されないということである。さて、MBTまではひたすらに卵割が繰り返される。ツメガエルだと30分に一回、すべての割球が同調的に卵割するわけで、細胞周期はほぼM期とS期を繰り返すだけである。しかし、MBT以降は細胞ごとに異なる細胞周期を刻む。これらの事実を重ね合わせると、MBTとは特別な機構によって遺伝子発現制御を行なっているのではなく、単に細胞周期を止められない結果として新たな遺伝子発現が行なえないだけであるとも考えうる。逆の言い方をすれば、中期胞胚で細胞周期を止めることができるようになって新たな遺伝子発現が可能となったということである。