アニマルキャップの正体

「胞胚腔の屋根」はアニマルキャップと呼ばれる領域を含む。後期胞胚〜初期原腸胚までのアニマルキャップは分化全能性を有することが知られており、種々の成長因子によってさまざまな細胞腫に分化させることができる。提唱している新しいモデルの中で、「胞胚腔の屋根」の領域が哺乳類におけるエピブラストに相当する細胞であるとわれわれは考えている。他の胚領域の細胞が、MBTになると同時に細胞周期が遅くなり、独自の分化へと舵を切るのに対して、「胞胚腔の屋根」の細胞はMBT以降も、後期胞胚〜初期原腸胚になるまで細胞分裂を止めることはない。細胞周期が止まらないということは、新たな遺伝子発現を起こせず、結果として分化できないことと同義である。分化ができないゆえに仕方なく多分化能を維持してしまったと考えてもまったく無理はないだろう。これらの細胞も、原腸胚以降では同調的分裂を停止して様々な細胞種に分化するが、その中の一部の細胞は細胞周期を止められず、神経堤細胞が生じる結果となった。神経堤細胞は「誘導される」のではなく、卵が持つ分化全能性を失うことができなかった(分化することができなかった)細胞だという考え方である。

このように、分化・未分化や多分化能・全能性の制御の説明に細胞周期の概念を持ち込むとかなり簡潔に説明できるようになると思っている。私が現役なら簡単な実験でこのアイデアを確認するのだが、誰かやってくれないかなぁ・・・。