期待?好み??

先日、小説「雪の狼」に関して期待はずれだったような文章を書いた

https://hashimochi.com/archives/9890)。

これは、この作品自体の否定ではなく、

単に個人の好みとの解離、あるいは展開してほしかった方向(期待)と、

小説の中で転回された方向(現実)の違いが

私をがっかりとした気持ちにさせたのだろう

(なんか英語的な表現だなmade me disappointedみたいな言い回し)。

 

こんなことはままある。

だから個人の好みが異なる人と趣味の話が成立しにくい。

ある人が「とても良かった」というものに

まったく感動しなかったことは誰もが経験していることだろう。

 

はじめて「羊たちの沈黙」を見た時の衝撃は忘れられない。

「レッドドラゴン」もかなり良かった。

この二本は繰り返し鑑賞する映画のレパートリーに入っている。

しかし、「ハンニバル・ライジング」はいただけなかった。

いくつかポイントはあるのだろうが、

一番印象的だったのは最後の方で舟に忍び込むシーン。

まんまとはめられて背中を銃撃される。

結果としてはたまたま背中に入れていた刀に銃弾が阻まれて命拾いなのだが、

この御都合主義も「雪の狼」同様に引いてしまうポイントなのだが、

その前に、レクター博士は背中を撃たれたらダメだ。

すべてにおいて冷静冷酷に計算され尽くされた行動をするのがレクター博士なのだ。

レクター博士に求めているものはそれだけなのだ。

だから私はこのシーンで一気に興ざめした。

でも、考えていただきたい。

この評価の根本にあるモノは、橋本の勝手な期待以外の何モノでもない。

 

私は、「ダイハード」の衝撃をいまでも覚えている。

あんなアクション映画はなかった。

ある時、何かの番組でブラマヨの小杉さんが

「ダイハードで一番いいのは3やんな!」と叫んでいた。

彼にとっては3が最高傑作だそうだ。

橋本の見解は「3以外ならどれも良い」なのだ。

たぶん、感動するポイントが正反対なのだろう。

 

で、「雪の狼」。

いま手元にないのだが、たしかこれは1990年代の中頃に書かれたもので、

いまだに重刷されているはずだ。

アマゾンなどでの評価もかなり高い。

この手の小説の初心者の橋本には理解できない面白さがあるのだろう。

だから、あえて皆さんにはご一読いただきたい。

その上でどうお感じになるのか教えてほしい。

 

そうそう、本欄でもなんども繰り返し登場しているトーキングヘッズ。

あのジョナサン=デミが撮った彼らの映画「ストップメイキングセンス」は

かなりのお好み映画である。

傑作!!!と声を上げて言い切れる。

しかし、上に書いたように他人とは趣味が違う可能性が大きいから、

特にこの手の映画に関しては趣味が合わなければどうしようもないから、

「好きだ」とは言うものの「良い」とは言わない。

あくまでも嗜好の問題だろうと思うからだ。

でも、過去に付き合った女性にはこれのDVDをプレゼントしている。

好みに合わないだろうことは承知の上で。

理由はない、が、あえて理由を探せば、

「私はこういう嗜好を持っている」ということを知らせたかったのかもしれない。

まあ、遠いむかしのことである。