科学誌

以前の私は日本の科学誌に論文を送らなかった。

理由は、やはりできるだけ多くの人に読んでほしいからで、

日本動物学会や日本発生生物学会の雑誌は、

インパクトファクターがどうこう言っても、

やはり欧米ではほとんど目にしないように思うからだ。

 

この考えの根本には印刷物の普及度が大きく影響する。

これまでは、日本でも欧米でも研究室で必要な科学誌を講読していて

それが届いたら何となくパラパラ頁をめくる。

そのときにふと気付く論文がある。

必要な論文を検索しただけではたぶんこの偶然の出会いはないだろう。

その偶然に期待をかける訳である。

 

しかし、昨年の「尻尾」と今回の「オーガナイザー」は

日本発生生物学会誌に掲載された。

変節なのか?

実はネットの普及により

印刷物ではなくオンラインで論文を読めるようになったのである。

だから、少しお金を払ってopen accessにしておけば

この雑誌を購読していない人にもどんどん読んでいただける訳だ。

 

もちろんこれは上に書いた「偶然の出会い」はないだろうが、

でも、ちょっと検索をかけて出てきた論文を自由に閲覧できれば

世界中の人が読んでくれるだろうと期待するのだ。

 

以前に丸山工作先生のことを書いた(https://hashimochi.com/archives/2675)。

残念ながら丸山先生のような高尚な気持ちで日本の科学誌に投稿したのではないのだが

でも世界中で読んでもらいやすくなれば、

良い論文が掲載されやすくなり、

その雑誌のレベルが自ずから上がるだろう。

良い論文を載せる環境が国内の科学誌にも少しは整ってきたのは良いことだろうと思うのだ。