食べる順番

食べる順番を考えるだけで痩せるというのを聞くのだが、

これって本当なのだろうかと疑問に感じている。

 

たとえば、十分に時間を空けて様々な順番で食事をすれば

特定の順番で特別な意味が生じるかもしれないが、

普通に30分〜60分くらいで食事をするときなどに、

その順番がどれほど影響を及ぼすのだろう?

 

吸収は食べ物が腸に到達してから起こるはずなので、

それまで食べ物は胃の中でこね回されているはずである。

だから、まず最初にご飯を一口食べておかずを食べ、その後に野菜を食べるのと

最初に野菜、その次が肉で最後にご飯という順番で食べるのとで

胃の中での食べ物の混じり具合にどれだけの違いが出るというのだろう?

むしろ食べ物全体に占める野菜・肉・ご飯の割合の方がより響くと感じる。

むしろ野菜を多めに食べる時には最初にご飯を食べようが

胃の中でしっかりとたくさんの野菜に混ぜ込まれるから問題ないのではなかろうか?

 

食べる順番で痩せられるという根拠は血糖値を急激に上げないことだという。

インシュリンを急激に分泌させないために糖分の吸収を和らげるためだという。

だから、先に野菜をとることでご飯の糖分の吸収を緩やかにする。

この目的なら、食べるときの順番と言うよりは、

胃に入ったときの混ざり具合、すなわち体積あたりに占める炭水化物の割合を気にすることだろう。

 だから、結局は摂取カロリーに気をつけて、

その中での野菜の割合(バランス)に気をつけるという

これまで同様の考え方でまったく問題ないと感じるのだ。

だからこそ、極端な食べ方をすることを除けば、

食事をするときは昔ながらの「三角食べ」が理に適っているように思う。

 

だから、食べる順番が意味を持つと思えるのは、

なにかひとつの料理を食べて時間をおき、また違う料理を食べるような場合、

たとえば会席やコース料理とか、

あるいは飲み会などで目の前にたくさんの皿が並んで

口から入れる内容を自分の意志で決めるようなときなどだろう。

飲み会などで、焼飯や焼きそばから食べるとか唐揚げばかり食べるような

いままでの概念から見ても誰の目にも不健康な食べ方をせず、

まずは野菜から食べて、次に肉で最後に炭水化物を取ろうって感じだろう。

これでも、会席やコース料理も場合は、

野菜→魚→肉→ご飯またはパンとなっているように思うから問題ないし、

飲み会などは最終的には食べる順番と言うよりも

食べたもの全体のバランスの方が重要だろうと思う。

たしかに最初に野菜を食べて胃の容積を一定量充たしておくというのは

カロリーのとり過ぎを防ぐ意味では重要な意味をもつとは思うのだが、

これは「順番の議論」とはまた異なる話だろう。

 

まあ、正直に言って食べる順番など私にはどうでもいい。

美味しいものを美味しい順番で食べたい。

そして、卑しく食べ過ぎないように気をつけるだけだろう。

総摂取カロリーが普通よりも格段に大きいときに

食べる順番を気にするのもおかしな話のような気がする。

むしろ食べる量を減らすことを考える方が絶対に正しいと思う。

 

では、なぜこのようなことを書いているのかと言えば、

順番を気にしている人の多くが、そもそも食べ過ぎではなかろうかと感じるからである。

順番はともかく、摂取カロリーと消費カロリーの差し引きがすべてだろうと思う。

まったく同じ食事をとる時には食べる順番で多少の違いはあるのかもしれない

(個人的にはそうは思っていない)が、

過大にカロリーを摂取しておきながら食べる順番で帳尻を合わせようなんて

理屈から言ってできるはずがない!と思うのだ。

 

もういちど言うが、ある実験条件下で食べる順番が肥満に影響することはあるのだろう。

ただ、科学的にこの実験を計画するのなら

順番の効果をしっかりと見定めるために、

最初のものを食べてから次のものを食べるまでに十分な時間を置くはずだ。

十分な時間をおかなければ胃の中で混ざってしまい、

順番の効果など見られないと感じるからである。

でも、人間が普通に食事をする場合に最初にご飯だけをすべて平らげる人はまれだろう。

普通の食事では食卓に上がった食べ物がまんべんなく胃の中におさまるはずである。

最初に野菜を食べようが最初にご飯を食べようが、

胃の中の食物の構成に違いが出るとは到底感じられない。

胃の中の食物の構成を左右するのは順番ではなく食事のバランスだと思うのだ。

この考え方って何か間違えているのかな??