ワムシ
またしても西川先生が紹介された話からの妄想です。
まあワムシは,クマムシ同様になんとなく興味があったから
うろ覚えの知識からの妄想になりますが・・・・・。
bdelloid(なんと発音するのだろう???)というワムシは減数分裂を行なわない、
したがって有性生殖をしないプランクトンである。
細胞数は1000個程度で機能分化も進んでいる。
有性生殖を行なわないということなので子孫はすべてクローンである。
クローンひとすじ8,500万年である。
このワムシはいまでは360種にも及んでいるらしいが、
親戚筋のseisonidというワムシは有性生殖をし、
その種類は2つしか知られていないそうだ。
有性生殖をすると、ある変異が集団内に拡散しなんとなく平均化するのに対して、
無性生殖ではその変異は直接の子孫=クローン内にしか受け継がれない。
だから無性生殖ワムシの種数が増えるのは何となく理解できるように思う。
しかし、疑問がある。
種って概念は大ざっぱに言ってしまえば生殖可能な集団にまとめられそうだが、
そもそも生殖しないヤツらを種として維持している機構は何なのだろう?
ひとつの可能性はDNA修復能力の高さだろう。
一般的な生物の変異の頻度よりもずっと低い変異しか入らないとすれば
生殖による間接的な種の維持機構よりはかなり直接的に
種を、すなわち同じものを確実に複製することは可能だろう。
世代時間の長さも必要かもしれないのだが、
ワムシの平均寿命は2週間程度ということなのでこれは却下。
それから、とんでもない環境下では寝ていられることも大切ではなかろうか。
有性生殖では、とんでもない環境下では減数分裂で胞子を作って耐える。
これを個体でするしかないわけだから、
胞子に匹敵するような「寝てやり過ごす」方法を持っていなければ
そもそも種として存在できない可能性がある。
とはいうものの、一個体いればクローンで増えるわけだから、
現存する360種よりもはるかに多い変異体が絶滅してきたということで話は終わるのかもしれない。
だから、特にDNA修復能力が高くなくても、
様々な変異を持つクローンをたくさん作って、
環境変化に適うものだけが残ってくればそれで良いとすることだ。
それはそれで良いのかも知れないが、
そんなことをしていて種として存続できるのだろうか???
どんどん新しい変異をもつクローンが増えていくような気がする。
まあ、有性生殖はしなくても卵から発生するわけだから、
発生機構からの拘束が強くかかっていれば種の維持は可能かもしれないな。
こういう博物学的な話は夢想するだけなら面白い。