豆腐のかたち
ある小説の中に、「豆腐のかたち」という文言がでてきた。
大豆をすりつぶして煮てもただぐちゃぐちゃな無秩序なものにすぎないが、
そこににがりを加えることで豆腐のかたちとなる、
というような文章で、
これを例に、組織の成り立ちなどについて語っているのだ。
ここでいわれている「かたち」とは、
もちろん豆腐が四角いとか丸いとかという意味ではない。
豆腐という実体をします意味として「かたち」と表現している。
これは「かたち」を表現する文章としては非常に優れていると思う。
これほどに的を射た表現を他に知らない。
今までに「かたち」についてさまざまに語ってきたのに
「豆腐のかたち」だけですべてを説明してしまうことに愕然とした。
表現力とともに観察力や思考力などを含めた日常の集中力の違いなのだろうか?
しかし、ここまで見事にやられると口惜しくもなく、
ただただ感心するばかりだなあ。