イモリ
半年前にイモリの神経胚で発現する遺伝子の情報が数万得られました。
で、先日ですが原腸胚で発現する遺伝子情報が数万得られました。
両者を比較すると、どちらか一方で発現する遺伝子も多く、
また、発現の様子から見てツメガエルと強烈に違う印象を受けています。
発生様式も含めて、やりたいテーマはたくさん出てきており、
そのどれもが非常に重要であると考えております。
問題は人手が足りなすぎることです。
いまのところ、ツメガエルとイモリが異なるということで終わります。
ただ、それだけでも意味があることは間違いありません。
普遍性とは多様性の中にこそ存在するとは岡田節人の言葉ですが、
この異なる両者を比較することで、両者に潜在する普遍性が明らかとなることが期待されるからです。
特に、現在の教科書ではツメガエルの知見のみが「普遍的知識」として書かれており、
それを学生さんは勉強しそれを信じています。
しかし、その知見はツメガエルのみの知見であり、
その他の脊椎動物とはやはり異なる部分が多々あるわけで、
その間の普遍性については言及できておりません。
だから、少なくとも両生類のかたち作りに潜在する共通性を記載することで、
脊椎動物全体へ広げられる何かが見えてくる可能性があるようにも思うのです。
さらに楽しみなのは、両生類の系統を見るとツメガエル(xenopus属)が、
その他の両生類と比較してかなり離れていることが言われていますので、
意外にすんなりとサカナとトリを結ぶ何かを見いだせる期待を
イモリの知見だけからでも抱かせることです。
もう、本当に手が足りません。
こんなときに卒論の学生がいたらどれだけ助かるかと思うのですが、
仕事がそれほどない時には学生がいたら大変なので
まあ、単なるわがままな気持ちってところですね。
なんにしてもわくわくする実験が目白押しで楽しみです。