風が吹くとき
「風が吹くとき」というアニメーション映画をご存知でしょうか?
イギリスの映画で、レイモンド=ブリッグス原作絵本の映画化だったと記憶しています。
映画を見たのは30年ほど前、しかも一回きりでしたので記憶は定かではありませんが、
いきなり起こった核戦争に対して、政府発行の対応書に純朴にしたがって行動し、
そのまま亡くなっていく老夫婦を描いた物語です。
この作者は、フォークランド紛争を強烈に皮肉った風刺漫画も書いていますように、
時の政治などを独創的かつ批判的に見ることが得意のようです。
映画と同様に、この頃イギリスでは”protect and survive”というブックレットがありました。
「防御して生き延びよう」くらいの意味でしょうか。
政府発行の印刷物で、たしか各家庭に配布されていたはずです。
内容は、家庭にあるものを使って核戦争が起こった時のシェルターを作る方法や
その時の対処法が書かれていたそうですが、
私は読んでおりませんので内容に関してはこれ以外にもいろいろとあったかも知れません。
「風が吹くとき」では、老夫婦がこの印刷物に忠実に行動し、
自作のシェルターの中で死んでいく物語だったと記憶していますが、
死ぬシーンまで描かれていたかどうかは覚えておりません。
イギリスでは、ときを同じくして民間の団体が”protest and survive”という印刷物を発行しました。
文字通り「反対(反抗)して生き残ろう」というもので、
核戦略そのものを批判する内容だったそうです。
レイモンド=ブリッグスの考えがこの書物に近かったのかは分かりませんが、
少なくとも政府発行のブックレットからは遠く離れていたものと感じます。
このアニメーションをいま見られるのか分かりません。
アマゾンで調べてみたら絵本も映画も手に入るようです。
機会があればご覧になって下さい。
思想的な問題はさておくとしても、
現在の私たちが似たような状況に置かれているように感じるのは
決して考え過ぎではないのではないかと思うのです。
感じ方は人それぞれだろうと思います。
だから、この映画についてのコメントはこれ以上書きません。
また、絵本の方は全く見たこともないので
作者の主張が映画よりも過激になっているのか逆なのか分かりません。
あるいは全く違っているかもしれないし。
これは、機会を作って私が読んでみたいと思います。
その映画はわかりませんが、YouTubeで検索してみたらそれっぽいの何件かヒットしましたよー。
たしか森繁久彌さんの吹き替えがいい味を出していました。
同じ作者の夢あふれるアニメーション「スノーマン」と同時上映だったのが強烈に印象に残っています。同時上映といえば、大学生の頃に「エレファントマン・スーパーマン・ブッシュマン」の同時上映を見に行きました。不思議な印象と尻の痛さだけが記憶にあります。