価値観

好みって人それぞれである。

誰かの好きなものを私も好きかと言われれば

むしろそうではないと思える場合が多いようにも思う。

だから、極力他人の価値観を否定しないようにしたいし、

自分の価値観を押し付けないようにもしたいと思うのだが

はたしてそれができているかと問はれればはなはだ心許ない。

 

そういう事を思っているのだが、

自分の好きな物を人にもよく思われたいという気持ちがある。

だから、人にものを貸したりあげたりする事がよくある。

自分がされたらはっきり言ってすごく迷惑な事だと思うのだが

そういう事をしてしまうのだから始末が悪い。

 

先日も某学生さんに自分の大好きなライブ映画を無理矢理貸した。

彼がとても忙しいのは分かっているし、

好みに合わなければただただ大迷惑な話である事は分かっているのにである。

昨日、その彼がDVDを返しにきてくれた。

こちらとしては申し訳なかったなあと反省しているところだったのに

映像の内容を誉めてくれた。

自分でも買おうかと思っている、などと嬉しい事を言ってくれた。

 

話は変わるが、私は人に食事をごちそうするのも好きである。

これまた、相手には迷惑な話だと思うが、

一応、断る事ができるような誘い方はしているつもりでいる。

ただし、学生が私から誘われて断るのは簡単ではないかもしれないので

まあ、迷惑な話である事はたしかであろう。

あるとき、某学生さんをさそって蕎麦を食べに行った。

その時にその学生さんは「父を連れてきてあげたいなあ」と言った。

 

「自分でも買いたい」や「大切な人にも食べさせてあげたい」みたいな表現は

「よかった」や「美味しい」と単に言われるよりも心に響いた。

こちらから押し売りをしているのに温かい言葉をかけてもらえて

ほんとうにうれしかった。

自分でこのような事ができているのかと考えると恥じ入る以外にない。

これは表現そのものというよりも、その人の心根の話なのだろうと思う。

小賢しい表現に凝ってもおそらくここまでは感じ入る事はない。

ということは・・・・器の問題ってことになるのだろうね。

こればかりは付け焼き刃ではどうにもならない。

やっかいだ。