想像力

農水大臣が更迭された。個人的には、ただ田舎の男性に多い「なんか変わったことを言って目立ちたい人」に特徴的な発言であり、発言内容が辞任に匹敵する問題ではない(というか、どうでもいい話)だと思う。私が問題に感じるのは想像力のほうだ。この立場の人がこんな発言をしたらこういうことになることは普通に想像できる。それを想像できないことにこの人の政治家としての欠陥があるのではないだろうか。この意味において、「更迭やむなし」なのだろう。

一部の政治家は「仮定の話には答えられない」という答弁をよくなさる。たしかに将来のことはわからない。理屈を言えば1秒先のこともわからない。だから、この文言自体はその通りなのだろうと思うのだが、政治家は起こりうるあらゆる事態を想定してそれに対応することが求められるはずである。「想定外でした」で痛い目にあってきたのは一度や二度ではない。「最悪の事態」を想定しておかないと危機管理などできない。だから、「こういう場合にどう考えるのか?」という類の質問には政治家としては答えられなければならない。もちろん一般論としてではなく、かなり状況を限定する回答になるだろうが、それでも「仮定の話」に答えられる能力が政治家には求められると考えている。私たち科学者でも、思った実験結果が出ない時を想定して実験を考える。というか、日常生活であっても、いろんなことをある程度想定していないと対応できないことはたくさんある。

「何かが起きてから対応を考える」では民の生活は守られない。「想定外だった」では政治はできない。だからこそ、「想像力」は政治家に求められるわりと大きな素養ではないだろうか?少なくとも私にはそう感じられてならない。