かたい?

今回も最近の(いつも?)個人的流行りの話題。

アメリカに住んでいた時にベッドを買いに行った。マットを選んでいた時、店員からやわらかさを尋ねられた。硬い方を好む日本人はまず100%”hard”という。しかし英語では”firm”と表現する。

アメリカの友人が日本に来て私宅に泊まった。姫路城や奈良の大仏など「日本的」なところを見に行った。さすがに生物学者、大仏殿の8本足の蝶々を見て”homeotic mutation”と言った。長い間日本に滞在しているといろいろと欲しいものがあるみたいで(英字新聞(それも決まった銘柄)を読みたいとかベーグルを食べたいとか)、その中でドーナツを食べたくなったそうだ。家の最寄駅の前にミスドがあるのだが、どうもそれではないみたいだった。で、近鉄奈良駅近くの売店で見つけたドーナツを買って食べていた時の話(前振りが長くなりすぎた)。そのドーナツは、日本人なら「かったぁ」というくらいのしっかりと「硬い(固い)」ものだった。それを表現するのに”dense”という単語を使った。

ベッドもドーナツも、日本人なら「硬い」で違和感なく通じるし、たぶんどちらも同じような感覚で捉えているはずだ。しかし、英語を話す感覚では両者は完全に異なる。理屈で、hardは石のように硬いものであって、ベッドやドーナツはそうではないということで、それは日本人も理解するだろうが、我々の感覚はそうではない。石のような硬さにも、ベッドの硬さにも、ドーナツの硬さにも共通する「硬い」という概念がある。それが英語を話す人には理解できないのだ。