勉強するには3

何を言いたいのかだが、杉田玄白たちが「ターヘル・アナトミア」を翻訳した時も同じだったよなってことで、「言葉(意味)ってこういうものだよな」である。玄白の「蘭学事始」によると、関わったほとんどすべての人がオランダ語を読めない、あるいは少し読めたとしても語彙力が決定的に不足していたため(もちろん辞書なんてものはないし、あったとしても解剖学の専門用語まで掲載されている辞書なんてその時代に存在しているはずもない)、目の前にただ意味不明の外国語が並んでいるのを眺めているだけの状態からのスタートだったようだ。現代人ならこの状況に置かれたら「そんなん無理に決まってるやん」と速攻で投げ出すだろうが、時代なのか玄白たちは勇猛果敢に挑んだ。玄白は「櫂や舵の無い船で大海に乗り出したよう」と残している。それでもなんとか翻訳できたということで、たぶん、同じ単語が出てくる文章を比較し、似たような文章を比較することで、文章の中での単語の意味や文脈の中での文章の意味を類推し理解する行為を繰り返したのではないかと想像する(というか、それ以外にやり方はなかったはず)。これって、遺跡に残されている古代語の解読とかに近い(暗号解読はちょっと違うようにも思うのだが)とも感じられる。最強の英語勉強法は、「少々わからないところが出てきてもいいからひたすらに長文を読むことだ!」そして「可能なら全文暗記することだ(単語の暗記は無意味だ)!」と私が主張するのもこの辺りに理由がある。

(つづきます)