素朴に2
兵庫県知事への告発文書に関してさまざまな議論がなされているようである。ここで「素朴な疑問その2」である。わたしが思うこの件の論点は二点、ひとつは告発文の内容が正しいかどうか、もうひとつはこの告発が公益通報として取り扱われる案件かどうかだけだろうと思う。パワハラの問題も「言った、言わない」の話になるだけで大した話ではないと思う。まあ、蛇足を承知で言えば、職員アンケートで「間接的に見聞きした」の割合は高かったが「直接見た」の割合が数%だったから信用できないとの論調はあまり論理的だと思えない。その理由は、全職員の中で知事から直接パワハラを受けることができる、あるいはそれを直接見ることができる職員の割合はかなり低いと思うのだ。でも、アンケートは全職員を対象になされている。もしこれが、知事と直接仕事をする(した)職員を分母にしたら、割合はかなり高くなる可能性はある。データは見方によってさまざまな顔を見せる。このあたり、研究者の癖でどうしてもさまざまな角度からデータを解析してみたいと思ってしまう。
さて、まったく見ていないのだが、現在真偽不明のデータがネット上に拡散されていると聞く。元県民局長の私的な内容であるらしい。このデータを元に、元県民局長の信用度が貶められているようだ。でも、この元局長の人間性と告発文の問題は無関係だろうと思う。すべてをそぎ落として、告発文書に対する対応の是非だけを論理的に議論して欲しい。その上で、知事の対応に問題がなかったのであればそれでいいし、問題があったのであれば反省してもらえればいいだけのことだと思う。「悪人」がいうことはすべて無視して構わない、「悪人」が言ったことはすべて間違えている、こういう議論は民主的ではないと思うのだ。人間だったら誰でも脛に傷を持っているだろう。それをほじくり返して、「こういう奴の言うことは信用ならない」というのも、感情的には理解できるものの、論理的にはおかしな話だろう。議論の本質とは別のところで、しかも真偽不明のデータを元に議論が展開されていることに対する違和を強烈に感じる。
なんにしても、一連のこの話はすごく気持ち悪い。だから見なければいいし、なるべく見ないようにしているのだが、ネットから、あるいはテレビからとにかく目に入ってきて、気持ちが揺さぶられる。