三杯酢
三杯酢って普通に通じるものだと思ってた。でも、先日一緒に食事に行った友人が「三杯酢」と言ってもあまりピンときていないようだった。ピンときていないということは作り方(というほどのものでもないのだが)を知らないのだろう。なぜなら、作り方を知っていれば味の想像は普通につくからだ。そもそも三杯酢の名前の由来を知っていればそれがそのまま作り方なのだから、特別のことを書いているわけではない。
そう言えば、「酢味噌は買ってくるものだ」と思っていた友人がいた。その友人のお母様は普通に料理をする方だそうだが、酢味噌だけはスーパーで買ってくるらしい。春にイモリ採りに行くと必ずつみ草をする。ノカンゾウも採って帰りさっと茹でてヌタにする。そのときに合わせる酢味噌は自分で作る。その話をした時に友人は「え、酢味噌が作れるってすごいな」と言った。いやいやいやいや、そんなことはまったくない。本当に美味しい酢味噌となれば簡単ではなのだろうが、適当にそれっぽくなら誰にだって作れる。ただ、「普通に作れる」ということを知らなかっただけに過ぎない。もっといえば、白味噌がなければ麦味噌でも赤味噌でも、どんな味噌だってそれなりに作れるし(思ってたものとは違ってくるだろうけど)、それはそれでそこそこ美味しい。自分で作れば甘味も酸味もお好みだ。
と同じことを過去に高知の親戚の家で言われたことを思い出した。その家ではマヨネーズを自家製にしていた。「自家製のほうが美味しいよ」と言われたのだが、そこでいただいたものはたぶん砂糖がたくさん入っていたのだろうか、かなり甘くてちょっと口には合わなかった。ただ、自分好みに作ることはできそうだなとは思った(それから40年以上経つが、いまだにマヨネーズは自家製をしたことがない)。マヨネーズから連想してタルタルソースの話になるが、私が好むタルタルソースはかなり緑色である。パセリのみじん切りが大量に入るからで、その代わりにピクルスは滅多に入らない。以前通っていたバーのバーテンさんはピクルスの代わりに「きゅうりのキューちゃん」を入れると言っていた。たくあんのみじん切りを入れる人もいたなあ。なんにしても、自分好みにアレンジするのはいいなと思う。ただし、あくまでも自分好みの味なので万人に合うかどうかは別問題だ。でも、自分が美味しいと思うものは誰もが美味しいと錯覚する傾向が人にはある。だから、ついつい強く勧めすぎる。この点だけはいつも気をつけているつもりだが、果たしてどうだろう?