9マイル

己の科学を語る時にケメルマンの「9マイル」を私は例に挙げる。ああいう論理立てされた科学をやりたいという文脈で語る。先日、「9マイル」の原書をKindleでダウンロードした。個人的には書籍の形が好きなのだが、調べてみたらとても高価で手が出なかったから、とりあえず原文を読むためにKindleにした。生物学の書籍でも同じだが、日本語で読むのと英語で読むのでは印象が異なる。まったく異なる文章を読でいる感じにさえなる。「へえ、こういう雰囲気だったのか?」と思うことが多い。また、生物学だと少々いい加減に読んでも意味は通じるのだが、ミステリ小説、特に「9マイル」のようにロジックを大切にする文章はいい加減な読み方ができない。何度も立ち止まり、私が知っている単語の意味では文章がつながらない時には訳本に戻って意味を理解する。「なるほど、この単語はこういうふうに訳すのか」と変な納得もする。なかなか楽しい時間である。