言葉の意味

昨日、「はんなり」について書いた。いつもの流れだが、「言葉の意味は文脈によって決まる」。言葉自体にはア・プリオリに意味は存在せず、その言葉が使われる文章によってその意味を理解する。子供などもそうだし、大人になってからも新しい言葉に出会う。そのときに、その言葉が使われている複数の文章とその時の状況からその言葉の意味を想像する。そして自分でも使ってみる。その使い方が間違っていれば周囲の人から指摘されるだろう。そうしてその言葉の意味が決まってくる。だから、自分が思っているその言葉の意味と、他の人が思っているその言葉の意味が同じかどうかは厳密にはわからない。長い時間をかけてその言葉が使われているあらゆる状況を経験する中で意味の理解は洗練されていく。しかし、その言葉が間違った状況で用いられていると、その文章によって決められる意味も違ってくる。

「失笑」も間違って使われがちな言葉だと言われている。失笑とは我慢できずに笑うことであり、まあ爆笑に近い言葉だろうが、多くの場合「苦笑」に近い意味だと思われているそうだ。高校卒業まで「いちびり(形容詞)」「いちびる(動詞)」は全国で通じると思っていた。しかし関西圏から離れるとまったく通じないことがわかった。そのときに共通語で意味を説明しようと思ったのだが、これがめちゃくちゃに難しい。説明しながら、「俺は本当に正しい意味を知っているのだろうか?」と不安になったし、他の関西人にも説明して欲しいものだと真面目に思った。やはり「いちびり」という言葉が使われている文章やその状況を経験してもらうことで意味を感じ取っていただくしかないと思う。辞書を書く人は本当にすごいな。