実験 その2

さて、研究者をやっていて感じるのは、優秀な研究者は必ず好奇心旺盛だってことでしょう。優秀な学生も好奇心旺盛です。だから、「面白い」と思ってもらえることもまた理科を好きになる一つの動機だろうと思います。子供が好きで理科が好きな生物の先生は、子供たちが興味を持つところを探してさまざまな実験を生徒に見せます。実験なんて準備も大変だし先生にとっては面倒なことだと思います。

生物学の実験ですが、化学に近い実験もあれば形態学に近い実験もあります。最近では遺伝子や分子を直接扱う分子生物学の実験もあるでしょう。化学に興味を持つ生徒もいれば形態に興味を持つ生徒もいるでしょう。ゴリラやライオンの生態に興味を持つ生徒もいるかもしれませんがこれは実験できません。でも、小さな生き物を使えば生態や行動の実験も可能になるでしょう。興味を持てなければ実験なんて生徒にとっても面倒なことです。興味を持ってもらえるかどうかもわからないことを手間をかけて行なう先生方の努力には頭が下がります。

この欄でも書き続けているように学校教育に興味があります。自分が面白いと思ってきたことを少しでも若い人に伝えたいと思っています。でも、その方法がわかりません。手探り状態です。生徒さんたちと一緒に実験もしてみたいと思っているのですが、興味の対象が発生学、時間の経過で形の変化を対象とする学問、すなわち時間がかかる実験なので高校の授業時間で終わるような実験を思いつきません。でも、生化学や固定したサンプルの観察は、自分自身が興味を持てないので生徒にその面白さを伝えられません。何かできないかな?と本当に思っています。思考実験ってのも可能かなとも思いますが、どうでしょう??