山は動きかけているのか?

この数ヶ月の間に何本か外国からメールをもらいました。若手の研究者からで、「両生類の原腸形成過程が従来言われていたのとは異なり羊膜類のそれに相同であるという結論を得たが、調べてみたらお前(橋本)がずっと昔から主張してきたことだったんだな」って感じの内容です(ここまでの意味がわからない方は過去のブログとか日本語総説をご覧ください)。

「現在世界中が信じているモデルは完全に間違っている」という趣旨の最初の論文を今から20年以上も昔に出しました。そのモデルを完成させ、両生類全体にまで発展させた論文の公表からも8年経っています。そして今年「これで最終版だ、文句あるか!!」という論文を公開しました。論文を投稿しても非論理的・感情的なコメントで掲載拒否され、あるいは普通ひと月で帰ってくる審査が2ヶ月以上経っても帰ってこないなど、正当とは思えない扱いを受けてきましたが、それでもなんとか受け入れてくれる雑誌に論文を掲載してもらってきました。

死後に複数の研究者によって行なわれた「再発見」によりメンデルの法則は世に認められました。橋本も「生きているうちにこのモデルが広まればいいなあ」と思っていましたが、これまで橋本を拒絶してきた大御所たちではなく、若い人たちが独自でこのアイデアに辿り着いてくれた結果として、思ったよりも早く教科書は変わるかも知れません。論文を出すのに苦労していたときに「パラダイムシフトは必ず起こるよ」と励ましたくれた研究者もいます。橋本の話を信じて「布教活動」を行なってくれた方もいます。世界的に有名な発生生物学の教科書の執筆者に直談判してくださった方もいます。「支えてくださった方々に、研究者を引退する年にようやく恩返しができるのかな」となんだか感慨深いです。

まだまだ安心はできませんが・・・・。