趣味の作問
趣味というのでもありませんが、この数年前くらいから時間のある時に高校生(?)向けの作問をしてひとりで楽しんでいます。高校の教科書を知りませんし、どのような授業が行なわれているのかも知りませんのであくまでも橋本が「こんな感じかなあ」と思うところを切り取って問題にしています。
意図しているところは「問題文中に答えはある」です。最低限の生物の知識は必要ですが、教科書で習わない単語については問題文中に解説を入れます。だから闇雲に暗記していなくても考えれば解けるわけです。問題文中に存在する知見を論理的に並べていけば自ずから正解に辿り着けるものを理想としています。ただ、問題文中にそのまま正解が並んでいるのは面白くありませんので、パッと見たら皆目わからないけど、投げ出さずにじっくり考えていけばなんとなく出題者の言いたいことがうっすらと見えてきて、「ああでもないこうでもない」と考えていく過程で不意に正解が目の前に出現するという問題をシコシコと作っています。皆さんにどれだけ馴染みがあるかわかりませんが、古典ミステリの傑作「9マイルは遠すぎる」を一つの理想と考えているわけです。ゴソゴソ作った問題は、もう20問近くあります。そのうちのどれだけが使い物になるかはわかりません。特に、高校生向けの作問の作法を知りませんのでそのままではひとつも使えないのかもしれませんが、もしかしたら高校の先生から助言をいただいたら形になるものもあるのではないかと思います。「計算問題」も作りました。以前にも書きましたが、ただ計算させるための「文章問題ばかりだから計算も入れておこう」というだけの目的で出された問題には抵抗があります。生物の問題として成立するためには、ただの計算力以前に、生物学を理解していないと計算できない問題を出すべきだと思っています。まあ、簡単にできることではないのでしょうが、それでもいくつか思いつくことはあります。これまた、自己満足で偉そうに言っていますが、先生方から見たら「これは使えない」と言われるものかも知れません。でも、アイデアとしたら盲点をついているのではないかと一人で悦に入っています。こういうのも現場の先生方にご判断を仰ぐことができる機会があれば良いなあと思っています。
作問をすることで何を目標としているのかですが、作問とは言いつつも生徒さんの学力を測る目的では作っていないということは言えます。まあ、橋本が現場の教員ではないからこんな呑気なことを考えられるのでしょう。解けた解けなかったと一喜一憂するのではなく、問題の趣旨を理解し、解説を聞いて(読んで)いただくことによって、表面的な知識が深いところで繋がっていることを理解してもらいたいし、そのことからさらに一層深いところの理解へと至るという経験をしてもらいたい、そのための一つのきっかけとして問題を考えています。実際の入学試験では学力を問うことが目的となるでしょうが、橋本が思うところは、たとえば1学期が終わった時に、1学期で習った単元を総合的に問いかけられる問題を解かせてみて、その問題の解説を夏休み前の最後の授業で行なうことで1学期に習ったことをまったく異なる視点から見つめ直せるということ、そして、そこには今まで教科書や授業で見てきたものとはまったく異なる空間が広がっていることを理解してもらうことです。だから、2学期が終わった時には2学期に習ったところ全体が関連するような問題を考えてもらうことが大切だし、1学期と2学期を通じて深いところで繋がっているような問題を解いてもらえればより一層の深い理解へと誘われるのではないかと感じます。ただ、そういう問題を作ることは並大抵の努力ではできません。橋本のような門外漢だからこそ思いつく内容もありますが、実際に教えている先生にしかできない技術もあると思います。
教科書に書かれているのとは異なるストーリーやロジックで生物を見ることが自力をつけるには重要だろうと思っているわけで自己満足としてやっているのですが結構面白いですよ。