平石ミステリ

この数年、平石貴樹が執筆を始めている。

この作者は東大文学部の助教授時代からミステリを書き始め、

純粋謎解きものを数年に一本の「ユルい」ペースで書き続けていたのだが、

大学を退職されてから一年一本のペースで書き進めているようだ。

 

彼の作品は、紙と鉛筆を片手に記録しながら解いていくと深層にたどり着けるはずだ。

その意味では純粋本格推理小説で間違いない。

ただ、あくまでも個人の嗜好の問題なのだが、

なんだろう、夢中になって読めない、

カタルシスを感じない、のだ。

 

以前にも書いたが、

https://hashimochi.com/archives/4655

https://hashimochi.com/archives/4669

謎解きはミステリの必要条件ではあるのだが十分条件ではないと私は考える。

私の場合、おどろきがなくてはならない。

五里霧中に光を見いだすタイプの論理立ては好みではないのだろう。

だから、「ポー」にしても「ジグソー」にしても

よくできたミステリなのにあまり世に知られていないのかもしれないとすら思う。

 

まあ、これらはあくまでも私個人の戯言であり平石作品の質は極めて高い。

純粋論理の帰結として犯人が名指しされる過程も美しい。

それら高いハードルをクリアした上での「好みの問題」をぐちゃぐちゃ書いているだけなので、

皆様もいちどお読みになられたらいかがだろうか?