卵黄と細胞運動
卵黄を多く含み細胞が比較的大きい場合に
細かな形態形成運動に参加できにくいのではないかということを書いた。
多くの魚類や両生類の原腸形成運動時に、
植物半球の細胞は卵黄により動物半球よりも明らかに大きくなっている。
で、両生類の原腸形成運動を見ると、動物半球から下りて来た
小回りの利きそうな小さい細胞が主に動いているように見える。
これに比較してゼブラフィッシュなどは
卵黄を含む大きな細胞が「ない」と見なされて構わないだろうから、
形態形成運動は「両生類型」と比較すればかなり自由に動くことができそうだ。
この辺りも、「大きな卵黄を持ったから」という事実に基づいた発生拘束になりうるように思う。
羊膜類では、胚体を形づくる細胞はすべからく小さい。
その「理由」はゼブラフィッシュとはまったく異なるとは思うのだが、
でも、小さくなったからこそできる発生過程がある。
卵黄を大きくしたために、卵黄を胚体で包むことをあきらめた結果が羊膜類である、
みたいなことをどこかで書いたように思うのだが、
「卵黄を胚体の形成と切り離して細胞を小型化できたからこそ、卵黄を大きくできた」
という逆説的な説明も同時に可能であるように感じる。
この辺り原因と結果が密に入り組んでいてかなり面白い議論ができそうにも思う。