かたちか情報か・蛇足
養老孟司は、個体発生とは進化を行なっているのだといった。
多細胞生物、特に細胞ごとに機能分化が進んだ生きものは
子孫を作るのに単純な「分裂」を行なわない。
その理由としてかかるエネルギーの問題を上げていた。
要するに、詳細に同じものを作る仕組みを確立するエネルギーが莫大になって、
進化的にそんな生きものは淘汰されてしまうという内容だったと思う。
だから、卵から発生をさせる過程で不良品を淘汰させればいいってことだ。
彼がどのような意味でこの言葉を言ったのかわからない。
ただ、この欄で書いている視点でこの養老説を考えると面白いように感じる。
卵とゲノムの情報が一致しないという視点である。
前ゲノムによって作られた卵で新ゲノムが複製するという感じだ。
すでに書いたように、発生過程をゲノムの存続の問題として考えると、
新たな変異を持っているゲノムが古い環境に適応できるか否かという問題に落ち着く。
その「新たな変異」が残りうるかどうかということが
正常発生できるかどうかという話と同じなのだ。
まあ、ここまでこねくり回さなくても
言っていること自体は同じことなんだけどね。