かたちとは何か?視覚
10代の頃、光の三原色を知ったとき物事の本質を見るような神秘な気持ちになった。
たった3つの光を混ぜ合わせるだけでこの世に存在するすべての色ができると言われれば
不思議で神秘的だと思わない方がどうかしているとさえ思った。
しかし、その理由を知ってしまえば「他愛もない」とちょっと幻滅した記憶がある。
要は、色を感じる元となるタンパク質(オプシン)を我々は3種類しか持っておらず
それらの吸収波長が赤・緑・青ってことで、
それら以外の色は、たとえ自然界に存在していても我々には認識できないだけのことなのだから。
人間が認識することって所詮は己の脳が認識したことに過ぎない。
常識的には光が網膜に届き、視神経から脳に信号として届くことなのだろうが、
外界からの刺激を除外しても、脳が勝手に認識さえすればそこに光もあれば色もある。
だから、夢を見るのだろうし、幻視や幻聴を経験するのだろう。
また、赤色オプシンの遺伝子に変異がある人が発見されており、
吸収波長が橙色よりに動いているらしいのだが、
この人の三原色は間違いなく橙・緑・青であろう。
また、この変異を野性型と共に持つ人にとっては四原色となるはずである(想像つかないが)。
結局のところ、色という普遍っぽいものでさえ客観からはほど遠く
すべては己の脳に映ったものがすべてということである。
なんだか「客観性」って言葉も危ういなあ。