鯛のアラ
ひと月くらい前だろうか、山菜を採ってきていろいろと料理をした。素人料理で恐縮ではあったのだが、そのうちのいくつかを行きつけの寿司屋に持って行った。ワラビやタケノコを出汁であっさりと炊いたものや、コゴミを茹でただけのもの、酢の物や佃煮などである。素人が玄人相手に押し付けをした形である。普通に恥ずかしい行為であることは承知しているのではあるのだが、ワラビやコゴミなんて、普通の生活をしていたらなかなかお目にかかれるものではない。土から数センチほど顔を出したタケノコを直ぐにアク抜きしたものも、自分で掘らない限り手に入れるのは難しいだろう。そんなことを考えていたらどうしても食べてもらいたくなったのだ。一応は自分で味見をして「これなら大丈夫だろう」と思うものを持って行ったつもりではあるが、玄人の下を満足させたのかどうかはわからない。ただ、「美味しかった」と言っていただけた。それだけで嬉しかった。
で、昨日もお昼に寿司屋で飲んでいた。帰り際に、ご主人から大きな鯛のアラを頂いた。一匹分だから、顔の左右とカマの部分である。帰ってから、「さてどう調理したものか」と考えた。山菜同様に、こんなものは普通に生活をしていてお目にかかるものではない。「普通にアラ炊きか、塩を打ってそのままカマ焼きにするか、あら汁か・・・」。悩んだ末の結論が潮汁だ。立派な鯛だったので、醤油や味噌で味をつけたくなかったのが理由である。昆布の出汁で、味付けは酒と塩だけで鯛からの出汁で美味しい吸い物になる。結局は全部を汁にしてしまったが、よくよく考えたら、カマの部分は外して塩焼きにしても良かったかな。昨日の夜に軽く下拵えをして、今朝しあげた。ご飯も炊いて、朝からいただいた。いやあ、美味かった。ごちそうさまでした。