米価

いつもながらの暴論を書く。

米の価格が収まってきたようで「よかったよかった」となっている。それはそれでいい。ただ、今回の米価の上昇は、近年の物価高とは一線を画しているように思っている。誰かが陰で儲けているというのは事実なのだろう。それは生産者ではなく、仲介業者のどこかであることも確かなようだ。そして、それが責められている。でも、日本人の誰かが儲けているのは悪いことではないと思う。この数十年の「物価高」の要因は、原料価格の高騰とか円安とかが原因だった。だから日本国内では誰も儲けていなかった。誰も儲けないのに物価だけが上昇するのは「悪いインフレ」だ。それに対して、今回の米価の上昇は日本国内で誰かが儲けている。誰かが儲けているということは、お金は市場に回る。どこかの中間業者の親父が泡銭(あぶくぜに)を儲けたら綺麗なお姉ちゃんのいる店で豪遊するかもしれない。ちょっといい車を購入するかもしれない。美味しいものを食べに行くかもしれない。とにかくそれで少し景気は活性化されるだろう。

よく、「景気は気のものだ」と言われる。「国民が一人1日一杯のコーヒーを喫茶店で飲むだけで景気は上振れする」と誰かが言っていた。これは「風が吹けば桶屋が儲かる」の理屈で、喫茶店が儲かれば、喫茶店にコーヒー豆を卸している業者も儲かるだろうし、何より、儲けた喫茶店の店主はそのお金を市場に放出するはずだ。喫茶店のマスターやママが近所のお好み焼き屋にいって焼き椎茸でも食べながらビールを飲む。するとお好み焼き屋が儲かる。毎日近所の人がコーヒーを飲みにきてくれるのだから、使ったお金はまた儲ければいい。そう思うことができる、こういう循環が景気なのだろう。不動産バブルにしても、それで儲かっている人が儲けたお金を使う結果として全体の景気が押し上げられる。タクシーの運転手に何万円ものチップを渡したりしてたらしいが、それでタクシー業界にお金が入る。実際にお金が入ったという事実よりも、明日も同じようにお金が入ってくるという気持ちのほうが重要で、明日も同じように儲けることができるという気分が景気を底上げする。本当にそう思う。確かに米の価格がいきなり倍になったら我々小市民には厳しいものがある。でも、だからと言ってそれを急激に抑え込むことがいいのかどうかについては少々疑問である。

ウクライナ戦争で穀物の原価が値上がりし、中東の不安定な空気感から原油価格が高騰する。物価は上がるしインフレにもなるだろうが、儲けいているのは日本人ではない。それだったら、今のような米価の急騰をつよく支持するつもりもないのだが、それでも国民の税金を投入して米価を下げるより、日本国内で利潤を得る動きはむしろ歓迎されてもいいのではないかと思ってしまう。ここで誰かが大儲けをすることが、景気を引き上げる引き金になることだってあってもおかしくないと思うのだ。