金曜日

金沢大学からお客様がお越しになりました。

ウニの発生を研究されている方でした。

私はいつも通りに「分子機能ではない発生研究」のお話をさせて頂きましたが、

やはり最近の「分子発生」を行なっている若い方でしたので

私のような話をこれまでに多分あまり聞いてこなかったと思いますし

だから「どのように伝わったのかなあ?」などと少し興味があります。

賛否はあって構わないし、考え方は多様であるべきだと思うので

むしろ橋本の話に迎合されないようなご理解をしてもらったのかな?ってことです。

いつもの論理ですが、橋本の話に盲目的に賛同することは

橋本の話を徹底的に批判することと同じでしょうから

いままで自分が培ってきた考え方に

橋本の考え方がどのようなかたちで入り込めるかってところが重要なのでしょう。

 

話を変わって、新しく学生さんが入ってくることを考えましょう。

大学院の試験は夏にあり、すぐに合否が決定されますので、

実際に入ってこられるまで半年くらいの時間があります。

新しく来る予定の学生さんから試験の合格後に必ず聞かれることがあります。

それは「どんな勉強をしておけば良いですか?」「どんな論文(本)を読んでおけば良いですか」です。

それに対して私はいつも「いまの研究をしっかりやってきてください」と答えます。

新しい勉強は実際に研究を始めてからで十分に間に合うけれど

いまの先生の考え方に触れることはいましかできないのだから

それを怠るのはもったいないということです。

それに、私はミニチュア橋本など欲しくないですから、

自分で勉強した考え方にいまの先生の考え方を融合して

自分独自の考え方を持った方にきてほしいのです。

そのうえで、橋本の考え方の何かを吸収して欲しいと考えています。

そうすれば、議論をしてもいろいろと橋本には思いもつかない発想が出てくるでしょうし

それこそが議論の重要さだし、醍醐味だろうと思うのです。

 

今回お越しになった方は既に一人で研究をし、論文を書いている研究者です。

お話ししてもしっかりとご自分をお持ちの非常に頼もしい人でした。

ここからどのようにすばらしい研究者に育つのでしょう?非常に楽しみです。

私たち研究者は、なんどか研究テーマを変えることがあります。

大学院の時、ポスドクの時、就職してから、転職して・・・

様々な機会に研究の材料や考え方などを変えます。

たくさんの人の影響を受け、その上で知らず知らずのうちに自分の価値観も変わります。

その方もいまはウニを研究していらっしゃいますが

次にはたとえばカエルを扱うかもしれません。

金曜日の橋本との出会いが少しでも良い方向の影響になれば良いなあ、なんて思います。