ホヤの原腸形成
都立大学でホヤの発生について高鳥さんと議論をしてきた。ひさしぶりに脳みそを使った楽しい時間だった。その中からネタバレにならないあたりを一つ。
私たちはカエルの原腸形成のモデルから、原腸形成運動は二つの素過程に分けられると考えている。この言い方は、実は正確ではない。脊索動物において「原腸形成 “gastrulation”」という言葉はいわゆるテクニカルターム(専門用語)であり、特別の意味を有する。で、大雑把に言ってしまうと、原腸形成とは三胚葉の形成過程である。だから、「原腸の形成”archenteron formationあるいはgut formation”」とは全く違う。で、教科書で一般にいわれる両生類の原腸形成運動の極めて初期に「原腸形成”gastrulation”」は完了しており、その後の大半の過程は体軸や原腸の形成である。
今回ホヤの原腸形成について教えてもらえたのだが、まだまだ理解は途中で止まっている。ただ、もしかしたらホヤの原腸形成もカエルと同じ原理で議論できるかもしれないと少し思った。話を聞いて、時間が経つとともにさまざまな疑問が生まれている。一つ一つは大したことのない疑問だが、これらを解いていかないと、自分の考えがまとまらない。まあ、発生の議論は絵がないと理解が深まらないので、目の前に相手がいないと議論が難しい。ただ、疑問をひとつメールで投げかけているので、その返答があれば、私の考えが検討はずれかどうかの判断はつけられるかもしれない。
私のモデルで、脊索動物の原腸形成は統一的に理解できると思っているのだが(魚類はこのモデルからは大きく外れる)、ホヤの理解が伴っていないので、原作動物はナメクジウオをモデルに置いている。今回いただいたヒントから、もしかしたらホヤの原腸形成が説明できるかもしれないと少しだけワクワクしている。