解雇権・・・ちょっとちゃうかな??

昨日の話に関わる話かもしれない(ちょっと関わらないかもしれない)。我々研究者の世界では定期的に捏造報道が出てくる。報道されるものは大問題であることが多いのだが、小さな捏造は数限りなくあるような気はしている。

さて、ずっと以前に東大の著名な先生の研究室で大々的に捏造がなされていた話を友人の研究者としていた。友人は、その先生と直接話をしたらしく、その先生の気持ちを肯定的に語っていた。私は当然ながら完全に否定的な立場でいた。私が否定的である理由は単純で、その先生の研究室にいた複数の学生・教員は、その捏造論文を業績として有名大学へ「栄転」していたのだ。私が問題視するのはこの点である。当時、そのポストに応募した研究者は当然のことながらたくさんいたはずであり、優秀な研究者もたくさん含まれていただろうことは想像に難くない。そして、その捏造された業績がなければ、本当に優秀な研究者がその職を得たはずである。たとえ、捏造発覚後に当該研究者が失職したとしても、その当時採用されなかった研究者が救われるわけではない。そのタイミングで就職できなかったことで研究を諦めた研究者もいたかもしれない。さらに、すでに職を持っている研究者にもメリットはある。捏造された最高レベルの業績を記載することで競争的研究資金を獲得できることである。これは、この捏造研究者が獲得した分、真っ当に研究を進めてきた他の研究者が研究費を獲得できないことを意味する。正義を語るつもりはないのだが、研究の捏造が絶対悪なのは当然としても、捏造の害悪には表立って語られないこのような理由もあると考えている。