老化?
人は真っ白な紙と鉛筆を持って生まれると言われる。でも最近わたしは、生まれたときに渡される紙には考えられる限りの線がすでに描かれているのではないかと思っている。だから、生まれてから何かを書いていくのではなく、生まれた瞬間からその線は一本ずつ消しゴムで消されていき、いま使用しているものだけが消されずに残されていくのではないかと考えている。
こう考えると怖い。真っ白な紙ならいつでもそこに書いていけばいいのだが、消されたものは取り返しがつかない。もちろん白紙の上に新しい線を描くこともできるのだろうが、それには大変な努力が必要だろうし、多くの場合は不可能に近いくらいに難しいと思う。だからこそ、いま自分の脳の中に残っている「線」が消えないように脳を使っていかなければならない。これが「老い」や「呆け」を防ぐ唯一の方法ではないかとこの歳になって感じる。気づくのが遅過ぎた感は否めない。もうかなりの線が消えてなくなっているなあ。