免疫? 2/4

専門ではないので想像でしかないが、インフルエンザウイルスもコロナウイルスも感染が流行している時にしか周囲に存在しないわけではないと思う。人間の免疫は、数十個程度のウイルスが体内に入ってきたくらいならそれを排除することができる。ウイルスや病原菌の「強さ」にもよるだろうがたぶん数百でも問題ないはずだ。流行とは、免疫系が防御できない数のウイルスに晒されるために感染・発症してしまうことで起こる。この「感染するかしないか」には閾値がある。「発症するかしないか」「重篤化するかしないか」にも閾値があるかもしれない。何にしても閾値はその人の免疫力に依存する。免疫の弱い小さな子供やお年寄りなどは成人なら問題ない数のウイルスであっても感染するし重篤な症状となることがある。だから、昔からお年寄りに会いに出かける時には風邪などの病気をうつさないようにものすごく気を遣ってきた。免疫不全の患者さんや移植などの時に免疫を抑える治療をした患者さんは無菌室に入れられるのは、普通の生活環境に菌やウイルスが実はうじゃうじゃいること、そしてそれらから免疫系が体を守ってくれていることを示している。

「だから除菌が大切なのだ」という論理に現在ではなるのだろうが、これは絶対的に逆だろうと思う。常日頃から異物に接することでさまざまなものに対する免疫力を高めておくことがいざという時に重要で、常日頃から異物をシャットアウトすることで過保護のぬくぬくとした環境で過ごした免疫系はいざという時には何の役にも立たない、あるいは間違った反応をするように「育って」しまう。だから私は「除菌」に対しては負の印象しか持たない。感染病を発症した患者さんと接した後など消毒除菌することには意味がある。それは閾値を超える量のウイルスや菌に晒された可能性が大いにあるからである。でも、こと日常生活のレベルでの不潔な環境はむしろ望むべきこととも思う。

(続きます)