性善説

私は中村桂子館長に「橋本さんは性悪説だから」と暗に非難されたことが何度かあります。

性善説の意味は分かりますし、素晴らしい思想なのだとも思います。

しかし、やはり現実問題としての組織の運営においては

何事にもHope for the best, plan for the worst.で対応するべきであろうと思うのです。

最悪の想定をしなければ最悪の事態を乗り切れない。

それは、「人は死ぬ直前にも嘘をつく」と養老孟司が言うように、

単純ミスの段階を越えて恣意的で悪意に満ちたミスですらも

確実に想定しておかなければならないということでしょう。

それは起こったあとの想定もそうでしょうが、

それ以上に、最悪の場合ここまでのことは起こり得るのだから、

それが起こらないために何を考えておかないといけないのかという問題です。

それが組織の危機管理の本質だろうということです。

 

「ここまでしなければならないなんて」と寂しく思う気持ちはよくわかるつもりです。

でも、それを未然に防ぐことで悪い考えを起こす人間を少なくすることにもなります。

人間は弱いものだと思います。

目の前に大金が積まれていて、誰も見ていない、盗んでも絶対にバレないという環境を作れば、

よほどの聖人君子でなければそれに手を付けない人の方がまれかもしれません。

だから、そのような環境を作らない。

それが組織を守り人を守ることになるのでしょう。

簡単にコピペをしてもバレなかったら、その次にはそれ以上のことに手を染めるでしょう。

だから、最初にそういうことができないように制度を作る、

正しい教育をするし、そのような行為を徹底的に排除する、

それが大きな悪の芽を摘むことに繋がるのだろうと思います。

そして、それが人を生かすことにも繋がるし、

社会を健全にすることにも繋がるのだろうと思います。

 

以前にも書きましたが、性善説の先には、

「信じたのに裏切られた」というその行為を行なった人の全責任だけしか残りません。

そして、その後にも同じことは続きます。

 

って、このようなことは定期的に書いていますね。