パズル
推理小説は謎解きではならないのか?
この答えは「その通り」だというしかないだろう。
謎解きという言葉はそもそも推理小説の定義にも等しいと感じるからである。
ただ、狭い意味で「謎」がなければならないのか?
あるいは、最初に「謎」が提示され、
それが論理的に解かれなければならないのか?と問われれば、
そうとばかりは言えないように思う。
というか、私が個人的に好むものはそうではないのだから。
一番の好みを言うのは困難である。
よくできた小説はすべて面白いから。
でも、一般的な意味で言えば
謎の存在に気づかず読み進め、
最後に「実は謎が存在していたこと」に気づかされるものは
最高に好みである。
いやあ、「よくぞここまで徹底的に騙してくれました」と感銘する受ける。
謎を最初に書くのは技術的に易しいと思う。
「ほら不思議でしょ?」と大上段に振りかぶってから
論理的にそれを解きほぐすやり方は読者の興味を削がない。
でも言葉は悪いかもしれないが、それはそれだけのことだ。
淡々と物語が進んで行き、
最後の最後に景色が反転するさまほど私にとって興奮することはないのだ。