ゲノムの支配

進化に対してゲノムの支配というのか影響というのか、

とにかくゲノム方向からの効果がどれだけ支配的なのであろうか?

私のいつも通りの考え方から言えば、

ゲノム主導の影響というのはきわめて小さいように思う。

この言い方は誤解されるだろうと思う。

進化においてはすべからくゲノムの変化をともなうからだ。

しかし、平時のゲノムの変化は淘汰圧によって抑え込まれているだろう。

ましてや、形態を根本から変化させるゲノムの変化は

発生拘束というきわめて厳しい淘汰圧を強烈に受けているはずである。

だから、進化の痕跡はゲノムに乗っているというのは正しいのだが、

その原因がゲノムにあるという論理は感心しない。

 

では、ゲノムの支配が優勢である、

すなわちゲノムの変化が即進化に繋がる状況というのはあるのだろうか?

私はこれこそが壊滅的状況下であると思っている。

すなわち、現存するゲノム自体が強い淘汰圧を受け存続の危機にある状況下にあれば

あたらな変異との間に真っ当な競争が起こりうるかもしれないし、

あるいは,平素では起こりえない(と私は考えている)いままでよりも有利な変異すらも

カタストロフィー下では十分に成立しうるだろうとすら思う。

そして、これまでも言ってきたようにこれがカンブリア爆発なのだろうと

半ば真面目に考えているのだ。

 

要するに、進化の原動力としてのゲノムの変化というのは、

現存するゲノムにかかる淘汰圧が強くなった時に初めて意味を持つのではないかということだ。