今週のレクチャーでは・・・

近年ではレクチャーやセミナー、あるいは大学の講義においても、

パワーポイントを用いたスライドショーで行なうのが一般的である。

これは、話し手にとって便利だし、

ストーリー性を作り易いので聞いている方にもウケはよいだろう。

ただ、スライドショーをやっちゃうとどうしても考える時間が減る。

私の話は、かなりの間を作ってお客様に考えてもらおうと努力をしているのだが、

それでも、次のスライドがある以上は変に脱線も出来ず、

結局は私の敷いたレールの上を話は流れる。

まあそれはそれで構わないのかもしれない。

というのも、レクチャーとは所詮はそういうものだからということだ。

しかし、私はレクチャーの合間も自身で考え続けたい。

昔の偉い先生が講義の途中で瞑想に入り込み、

黒板に向かってうなりを上げていたという話を聞くと、

何となくうらやましいと感じてしまうのだ。

ただ、学生さんにはたまったものではないだろうとも同時に思う。

 

で、今週のレクチャーをどうしようかと考えている。

スライドをまったく使用しないというのはなかなか難しいが、

できれば板書しながらごちゃごちゃと話をしたい。

理由はこの欄でも何度か書いてきたし、

過去のレクチャーでも話をしてきたのだが、

かたちの話はあらゆる考えが絡み合っていて、

一本線で描ける内容ではないのだ。

風が吹けば桶屋が儲かる式の「カスケード型」論理では足りないのである。

スライドショーは、すでにストーリーが出来ているわけだから、

「これはこうなんですっ!!」って押し切るしかない。

そこに理解は生じないと思う。

様々な意見が飛び出し、その中で橋本がさまざまな回答を繰り出しながらも

最終的には武蔵坊弁慶のように「立ち往生」するさまを見ることで、

ことの本質を理解してもらえるのだろうとも真面目に思うのである。

 

ただし、これも「言うは易く行なうは難し」の典型だろう。

こんなことを下手にやったらただのカオスの世界に陥って終わる。

ぐだぐだになったあげく、お客様から非難の声を浴びて立ち直れなくなるだろう。

でも、やってみたい。

どうしよう・・・・・たぶんレクチャーの場に立つ直前まで、

もしかしたらその場に立って話し始めてすらも

悩み続けていることだろうなあ。