ネタばらし

世界中の名作ミステリの謎解き本のようなものが読んでみたい。

ここだけを読めばそのミステリは表面的には語れるというダイジェスト版を。

しかし、ミステリの作家や愛好家はこれを非とする。

ネタばらしは彼らの道徳観では絶対にダメで、

法律なら死刑に値すると言い出しそうなくらいだと感じる。

 

その理由として、まあネタがバレたらその本が売れなくなるってのがあるのかもしれない。

しかし個人的な意見だが、謎解きがわかったから本を買わないことはない。

翻訳本が売れたら原著も売れるように、

秀逸な謎解きの物語はその謎がわかったからこそ読みたくなることはあるだろう。

また、「アクロイド」や「オリエント急行」などネタが分かって手に取るものも多いはずだ。

 

ただ、愛好家や作家のいう「絶対にダメ!」の意味は売れなくなるからというのとは違う様に思う。

単に作品として、最初の一行目からじっくり読んで欲しい、

作者がどのような伏線をどこに張っているのか、

じっくり騙されて欲しいし、それらすべてを鑑賞して欲しいってのだろう。

もちろんその趣向を否定はしない。

しかし、そうではない入り方もあって良いと思ってしまうのだ。

え、そんなトリックがあるの?と思ってから原著に当たることだってある。

それを知らなければその本を読むことすらない。

 

ただし、この「謎」はトリックに限ると私は思う。

倒叙ものや最後の一行に意味があるものは、

ネタがバレた瞬間に意味をなさなくなるだろうし、

その本を手に取ろうとすることはしない様に思うからだ。

おそらくネタばらし否定派の人は、私よりももっと大きなくくりで

こんな風に思っているのかもしれない。

 

でも、もし私が大金持ちだったなら、

何人かのミステリ愛好家を雇って、

私のためだけに「トリック大全集」を作ってもらいたいなあ。